TOP2005年記録

静寂の銀世界、パウダー、宴会三昧・・・山屋の正しい年越し

北海道/原始ヶ原〜富良野岳、前富良野岳
(山スキー)

高田

【日時】2004年12月30日〜2005年1月2日
【メンバー】高田(L)、田辺(利)、比内(会員外)


 今年も雪が少ない内地の山に見切りをつけ、静かな年越しの地を求めて北の国へ飛んだ。千歳に着くと、さすがにしばれる。しかし、冬はやはりこうでなくては・・・。

 12月30日 下界は快晴なのに行手の山々には黒い雲が垂れ込めている。布礼別の林道入口には3台がすでに停まっていた。思いがけない先行者のおかげでラッセルの苦労もあまりなく進むことができた。今回の山行がシーズン最初の雪山となる3人にとってはラッキーだったかもしれない。
 ほぼ夏道沿いに登っていき、沢形を横切って原始ヶ原の末端までたどり着く。原始ヶ原は湿原がそこここに広がっており、平坦で、地形としてはとてもわかりにくい。ふと見ると先行パーティのテントがあった。宴たけなわ、といった感じ。ほろ酔い気分のお兄さんとかわした会話によると、車は3台とも彼らのもので明日下山するということだから、この広いエリアは我々だけのものになる。やはりこの時期に来る人は稀ということだ。小雪が舞っておりえらく寒い。数百m先に進んでテントを張りMSRで暖をとる。やっぱり厳冬期の雪上テントは心地よい。ここが2日間のBCとなるのだ。

 12月31日 朝起きて出発の準備中、やけに空気が冷たいと思って温度計をみると-23℃。しばれるわけだ。雪は舞っているが風がさほどでないのはありがたい。富良野岳へ向けて出発だ。地形が迷いやすく、トレースも消える心配があったので結構頻繁に赤布を付けながら進む。コンパスを頼りになるべく樹林が開けたところを行くと、ようやく行く手に富良野岳の基部が認められるようになる。クライミングサポートを上げ、登りにかかる。雪はさして深くもなく、概してウィンドパックされた感じ。ということは、下りは・・・?
 標高1400mを過ぎ、森林限界を越えるとさすがに風雪が強くなる。用意したデポ旗を雪面に打ち込みながら登る。今回はそもそもピークにこだわるメンバーでもなく、スキーでいけるところまで、という前提でアイゼン・ピッケルは持ってきてない。1600mあたりで「どうせこれ以上登ったところで、快適斜面という訳でもなし・・・」ということでシールを外す。中腹には西からの風が吹きつけ雪は完全にパックされている。残念ながら私はテレマークターンどころではなかった。
 トレースは一部を除き明瞭に残っていたので下りはあっという間で、昼過ぎにはBCに着いてしまった。明日は天気が悪そうなので今日のうちに前富良野へ、という話も出たが、そこまで頑張る山行でもないので早々に宴会モードへ移行する。そういえば今日は大晦日か・・・夜は紅白を前半だけ聴いて就寝した。

 1月1日 昨日とった天気図では、本州で悪天をもたらしている低気圧が発達しながら北海道に近づいており、今日は荒れるかもしれないと警戒していた。ところが、起きてみると雲ひとつない晴天。雪も昨夜から全然降った様子はない。首をひねりながら、この天気が続くのなら、「遠いし迷いやすいから」とあきらめたトウヤウスベ山方面も行けるかもしれない。ちらりとそう思ったが、このあと荒れるかもしれないし無理は禁物と、昨夜決めた前富良野へ向けて歩き出す。
 途中まで昨日のトレースをたどり、樹林帯をゆるやかに登り始める。樹林帯の中の雪は結構深い。ラッセルはそれなりに大変だが、こりゃ今日は期待できるかも・・・。森林限界を越えるとやはり風が強くなり、体を動かしてないと寒い。それでも空模様は一向に崩れる気配がない・・・不思議だ。
 昨日と同じくらいの標高まできて、やはり昨日と同じ理由でここから引き返すことにする。上部はいまいちだが、樹林帯の中はふかふかのパウダー。比内さんはファットテレですいすい軽快に降りていく。田辺さんも、去年は出番が少なかった自慢のT2セットでごきげんそうだ。私はといえば、わざわざ革靴・細板を担いで北海道まで来た甲斐があったというもの。短かったけど至福の雪だった。当然登り返してもうひと滑りして、湿原に出て富良野、前富良野をバックに記念撮影。 BCには13:00前に帰り着き、今日も早々に宴会モードへ。この後天気図をとってみると、12:00には予想通り低気圧は発達して北海道の東海上にいて冬型が強まっている。いまだに解せない晴天だった。

 1月2日 今日は下山のみ。雪が降っているが、行きのトレースがまだ薄く残っていた。途中、急な尾根の腹を下るところは難儀したが、概ね順調に降り、昼前には車止め着。帰路で出会ったのは単独行のおじさん一人だけ。こうして、静かな年越しの山旅を無事終えることができた。
 そして、富良野の町のラーメン屋でひとまず腹を満たし、スーパーでしこたま食材を買い込んで、残り二日間のベースとなる白銀荘へ・・・正月テレマーク合宿は第二ステージへと突入するのであった。

【行程】
 12/30 布礼別車止め(9:15)〜原始ヶ原BC(14:45)
 12/31 BC発(8:00)〜富良野岳中腹1600m付近(11:00)〜BC(12:00)
 1/1  BC発(8:15)〜前富良野岳中腹1600m付近(10:30)〜湿原手前(11:15)〜登り返し
     〜BC(12:45)
 1/2  BC発(8:15)〜車止め(11:45)
【地図】十勝岳、本幸