TOP2005年記録

初めての岩稜は定番ルートへ

八ヶ岳/阿弥陀岳北稜・石尊稜 (雪稜)

笹川

【日時】2005年1月22日〜23日
【メンバー】小暮(L)、笹川


1月22日 晴れ
 美濃戸山荘までの林道歩きを覚悟していたが、4WDでチェーン装着のみOKだったので、早速チェーンを付け乗車。途中、歩きの2人組を追い越させてもらえるようお願いしたら、逆にヒッチハイクをお願いされ、同車することになった。悪天の為、穂高から転進してきたとの事。
 行者小屋までノンストップで行こうとしていた、小暮さんを説得して一休み。2人で3〜4人天を担ぐのは重い。それに加え初めておろしたオスプレーのウエストベルトの長さが足りず、肩だけで背負っていたので疲れた。(何よりバックルが締まらない事にショックを受けたが...)
 行者小屋でテントを張り、予定通り阿弥陀岳北稜を目指すことにしたが、ここまで予定よりも時間がかかってしまった。行者小屋から文三郎の分岐を過ぎてもトレースが続いていた。腿まで潜るのに、ワカンを持ってきていなかったので非常に助かった。トレースがなかったら、確実に敗退していたと思う。
 ガイド通りに、木がまばらになる所から尾根に上がる。尾根に出たところで先行の3人パーティに追いついたが、先に取り付きたい様子だった。おかげで全部ラッセルして頂けたが、草付きの急登でかなり時間がかかり、時間切れになることも頭をよぎった。
 先行パーティがワカンを外している間に、3人の内の2人を追い越し、岩場の取り付きでは我々の方が早く準備できていたが、やはり先に行きたい様子である事と、ここまでのトレースの事を考えると、先には行けなかった。
 順番待ちで時間がかかると思い、ツェルトをかぶることにした。かぶり始めた途端、震えが収まらずダウンを着た。やっぱり八ヶ岳の寒さは半端じゃない。
 30分位待ったところで、我々も取り付ける状態になった。先行パーティが同時登攀で登ったおかげで、あまり待たずに済んだ。
 1ピッチ目は小暮さんがリード、最初のクラックまでが核心のようで後はスイスイ行ってしまった。
 2ピッチ目は笹川がリード、冬の岩のリードが初めてだったので、始めは恐々登っていたが、取り付いてみたらホールドもスタンスも豊富にあり、ナイフリッジもトレースがあったため、何事もなく過ぎてしまった。正直、これで終わり?と呆気にとられてしまった。
 山頂へもほんの一息で到着、昨年の南稜が長かったため、余計短く感じた。雪が安定していたので、中岳沢を下降し、夕暮れに染まる大同心と小同心を惜しみながら、ゆっくりと下山した。

1月23日 曇りのち雪
 明るくなったところで出発。昨日ほどではないが北アルプスも望める、まあまあの天気だ。
 予想通り、トレースはバッチリあった。樹林の中を突き進んでいるので、慣れている人のものだろう。トレースが沢型に入ると赤岳鉱泉からのトレースと合流、そののち三又峰ルンゼが見えてくる。傾斜がある所のみ氷が覗けるが殆ど雪に埋まった状態だ。
 三又峰ルンゼの取り付きにトレースがある事を確認した後、草付きをトラバース。すぐにガイド登山と分かる2人組がいてビレイの準備をしていたが、我々は疲れたので休憩することにした。しかし、これが大誤算だと後で分かる。
 最初の岩場までノーザイルで進む。岩場まで行くと、更に先行パーティがおり、我々は3番目になる。見た目以上に難しいのかだいぶ時間がかかっているように見える。ガイド登山もバイルを落としたりして時間がかかった。
 ここは小暮さんにリードしてもらい、フォローで登ったが、微妙なスラブ登りで苦労した。すぐ下にガイドが取り付いたので、こっちは焦り始めA0しまくりで登った。今考えると雪を払いながら慎重に登れたらもっと楽しかったと思う。
 さらに1ピッチ小暮さんにリードしてもらったが、ここもトラバースが微妙だった。
 その後、草付きが続き、壁の立っている場所は確保し、確保が不要なところはコンテで進んだ。今回はダブルロープだったためザイルを巻いていた小暮さんは大変そうだった。
 後ろにいたガイド登山者に追い越され、我々は4番目になり、先にいたガイド登山の2人は見えなくなっていた。さすがにガイドは要領が良いようだ。一番見習わなければならない点かもしれない。
 4番目になったおかげで、ちょっとした待ちが増え、時間がかかってしまった。
 最後の岩場に着く頃には雪が舞い始め、早く登りたかったが、なかなか順番が来ず寒かった。我々の後ろにも2人組が見えたので、トイレも行けずに悩んでいたら、その2人組みは巻いて登り始めた。
 ここは私がリードする予定だったが、最初の岩場でかなり気弱になっていたので、ここも小暮さんにリードしてもらう。難しくはないが、ランナウトしている。その次も小暮さんリード、ザイルを裏返しに受け取らなかったため、ザイルが絡まり苦労した。
 地蔵尾根の下りではアイゼンを履いていても雪がすべり、膝が余計に痛い。つぼ足になると余計にすべり何度も転びながら行者小屋に着いた。
 泊まりの2張りを除き、みんな帰ったようだ。暗い中、林道を車で走るのが嫌だったので、急いだ。なんとか明るいうちに駐車場に着いたが、歩き同様にすべりまくる車に冷や冷やしたものの、無事に美濃戸口まで到着できた。

【行程】
1/22 美濃戸山荘(9:20)〜行者小屋(11:50/12:30)〜JP(13:00)〜阿弥陀岳(15:50/16:00)
   〜行者小屋C1(17:00)
1/23 C1(6:50)〜石尊稜取付(7:50)〜下部岩壁(8:50)〜下部岩壁上(10:30)〜上部岩壁(12:00)
   〜石尊峰(13:40)〜地蔵尾根(14:20)〜C1(15:20/50)〜美濃戸山荘(17:00)
【地図】八ヶ岳東部、八ヶ岳西部