TOP2005年記録

白馬連峰遊び尽くし

北アルプス/白馬岳主稜〜鑓沢滑降
(雪稜+山スキー)

藤本

【日時】2005年4月29日〜30日
【メンバー】藤本(L)、小暮


 昨年GW直前の週末、小暮君のリーダーで宮下さんと白馬尻をベースに日帰り速攻で主稜登攀と大雪渓のスキー滑降をもくろんだのだが、前日の降雪によるラッセルにより、あえなく時間切れ敗退してしまった。この時の経験を生かしつつ、金に糸目を付けず欲張り放題且つ必勝プランをひねり出して再度挑むことになった。小暮君は雪稜&スキーの定番フリートレックで、私はブリザード TSエクストリーム(130cmの山板)とテレマークビンディングのセットで‥そう、テレブーツ(T4)で主稜を登るのさ。キックステップに弱いテレブーツも特製アイゼンを付ければダイジョーブ。さて結果はいかに?

【4月29日】
 除雪の入った猿倉まで車を入れて仮眠後、6時50分に出発。時折雨がぱらついてモチベーションをそがれるが、今日は白馬小屋までの行程だ。なんとか上まで抜けようぜとお互い確認をとって、スキーにシールを貼って歩き出す。白馬尻にテントが数張り。天候待ちか、活動しているパーティーは見あたらない。八峰まで行けるところまでシール登行して、アイゼンに履き替える。GWというのに八峰直下で様子を見に来たという単独行者以外誰にも会わず、主稜は我々の貸し切り状態となる。先週入ったパーティーのトレースは消えており、臑から膝くらいまでの腐れ雪のラッセルとなるが、稜上の不安定な雪庇はおおむね落ちて、ルートファインディングにそれほど神経を使うことはない。所々ポコポコとピッケルを刺した穴が空いており、先週通ったパーティーのルートを示している。この中に宮下さんや川鍋さんのピッケルの跡もあるんだよなあ。断続的に降り続く雨と強風に閉口しながら、適当にトップを交代しながらスノーリッジやシュルントに雪壁を越え、視界のない中黙々と高度を稼いでいく。七峰、六峰、五峰‥そろそろ一峰かなあ?あれ、違うか。何度か偽ピークにだまされる。二峰下部の岩壁を右の雪壁より越えると、いよいよ傾斜はきつくなり最後の雪壁にさしかかる。腐れ雪に慎重にステップを刻み山頂に抜けると猛烈な風の歓迎を受ける。私が登り切るまで下で待っている間に足がつってしまった(笑)という小暮君にお助けヒモを投げて迎えいれる。檄風によろけながら小屋に転がり込む。いやー寒かった。小屋の中は天国だ。小屋開きというのに私たちの他の泊まり客は三人のみで、乾燥室にすっかり濡れた衣服や装備を広げ放題。従業員の対応も好ましく、三年ぶりに食べた山小屋の食事もうまかった。(小暮君は九年ぶりだとか‥。)食事時にはガスの合間に夕日に映える旭岳も望まれ、明日への期待が膨らむ。

【4月30日】  今日は絶好のスキー日和だ。小屋前から旭岳の鞍部までカリカリの斜面を滑って、荷物をデポして旭岳に登る。さて滑降開始。傾斜は強いが東面の雪は程良く緩んで快適この上ない。荷物を回収してそのまま清水谷へ滑り込む。正面に剣岳を望みながら、まさに山岳滑降の雰囲気満点である。2280mの二俣まで標高差600mの滑降を楽しみ、杓子沢のコルへ登り返す。コルから登山道を一汗かいて鑓ガ岳に達する。たっぷり休んだあと出来るだけ上部より鑓沢へ滑り込む。この鑓沢、斜面の大きさでは大雪渓をしのぎ、斜度も一定で極めて雄大な滑降が楽しめる。雪に埋もれた鑓温泉上部にさしかかると、雪も腐って雪玉をボロボロ落としながら、それでも楽しく杓子沢出合いまで標高差1300m滑降する。うーんさすがに足にきたぞ。小日向のコルまでゆるゆると登り返し、猿倉まで最後の滑降を楽しむ。ここは北面のため雪質も安定して思った以上に楽しめた。長走沢を経て猿倉まで標高差600m滑降して今回の山行を締めくくる。2日間であったが、雨の中の雪稜登攀、標高差延べ2600mの大滑降と実に濃い内容に満足して、麓の温泉へ車を走らせたのでありました。

【行程】
4/29 猿倉(6:50)〜白馬尻(7:55)〜主稜取付(8:10)〜八峰(10:30)〜六峰(11:30)〜白馬岳(15:45)
   〜白馬山荘(16:10)
4/30 白馬山荘(7:20)〜旭岳(8:05)
   〜清水谷左俣滑降〜二俣(8:50/9:10)
   〜杓子沢のコル(10:20/35)
   〜鑓ヶ岳(11:20/50)〜鑓沢滑降
   〜c.1650二俣(12:30/50)〜小日向のコル(13:30)
   〜猿倉(14:10)
【地図】白馬岳、白馬町、欅平、黒薙温泉