TOP2005年記録

残雪の多さにチャンス到来

毛猛山塊/未丈ヶ岳〜毛猛山〜浅草岳 
(雪山縦走)

栗原・山口

【日時】2005年5月1日(日)〜4日(水)
【メンバー】L栗原、山口


(5月1日)山口記
 家庭の事情で3月末の頸城の会山行以来山へ入れない日が続き、悶々としていた。5月のGWも予定が立てられない状況が続いていて、今年はダメかなと諦めかけていた。しかしクリユキが単独でも毛猛に行くというのを聞いて俄かに行く気満々となり、何とか家族を説得しやっと行けることになった。とは言うものの1ケ月以上のブランクがあり果たしてこの長丁場を歩き通せるのか不安が強かった上に、私は六十里越まで行ければ満足だったのに、何とクリユキは浅草岳まで足を伸ばすという。一応4泊5日で未丈から浅草までの計画を立てたが、私は何が何でも3泊4日で下山する気でいて、最悪の場合単独ででも六十里越から降りるつもりでいた。
 1日の朝の新幹線で浦佐に向かい、奥只見丸山スキー場行きの無料送迎バスに乗り込む。同乗者はボーダー、スキーヤーばかりで、登山者は我々2人だけである。10時過ぎには着く予定であったが、シルバーラインのトンネルの中で事故があり2時間以上も足止めされてしまい、第2リフト終点から歩き始めたのは12時を廻っていた。予報では今夜から天気が崩れるらしいが、今のところ天気もまあまあだし、先は長いのでかうのき沢源頭の緩やかな斜面をのんびりと歩を進める。途中未丈ヶ岳日帰りの3人パーティーが降りて来る。高度を上げるに従い左手に荒沢岳、越後駒、中ノ岳が、遠くには平ヶ岳、燧ヶ岳が見えてくる。後ろを振り返れば会津朝日岳、丸山岳、会津駒ヶ岳など、皆思い出のある山々ばかりである。未丈ヶ岳頂上直下で29日に六十里越から入山したという単独行の男性とすれ違い、途中の藪の状態などを聞くことが出来た。結局この後浅草岳までは途中誰にも会わなかった。未丈ヶ岳の頂上は雪が無く、藪と土が出ていた。この日は未丈を越え、大鳥池に下る尾根を過ぎてそこから一段下った平な所にテントを張ることにする。この頃から風が強くなり出し、雨もパラついてきたので慌ててテントを張っていたら危うくテントを飛ばされそうになった。改めて下大鳥沢の源頭に一段下った、巨大な雪壁の下に張り直したが、夜中の風当たりは結構強かった。

(5月2日)山口記
 4時に起きるが昨夕からの雨が残ってるし、ガスで視界も効かないので少し様子を見る。雨はやみそうもないがどうせ藪漕ぎで濡れるだろうからと、7時過ぎに出発する。ガスが濃く視界はほとんどきかないので、歩き始めに赤柴沢の方に下りかけるが、直ぐにコンパスで確認し方向を修正する。出だしの赤柴山への急登はきつかったが、ここを越えるとあとは緩やかなアップダウンが多く、雪が多く藪もそれ程出ていなく、ほぼ稜線通しに順調に進むことが出来た。一ノ沢山を過ぎ方向が北北東に変わると正面に毛猛山手前の1257mピークが立ちはだかるが、急登のせいか以外に時間がかからずに登り切る。この頃から雲が切れガスも晴れてきて、右下には田子倉湖の水面が左手には形のいい桧岳から太郎助山への稜線が望まれてくる。毛猛山への登りにかかるとだんだん藪っぽくなってきて、右手の雪面に乗ったり藪に戻ったりとルートを探しながら進む。最後の1ピッチは猛烈な藪であったがこれを直登してようやく念願の毛猛山の頂上に飛び出すことが出来た。三角点のある頂上周辺はやはり土が出ていたが、北面から西側はビッシリと雪で覆われていた。ゆっくりと休んでから、北側の急な雪の崖を避け東側から回り込んで1268mとの鞍部まで降りてテントを張った。天気も良くなってきて、目の前には越えて来た毛猛山、北側には明日辿る前毛猛山から六十里越、浅草岳のルート、その向こうには守門岳まで望まれる気持ちの良い場所だった。夜外に出ると太郎助山の肩の辺りに明かりが灯っていた。

(5月3日)栗原記
 ここまでの行程は至極順調だったが、他の記録を見ると前毛猛山への登りの藪がきつそうだ。前方には黒々とした尾根筋も見えており、残雪がどのくらい使えるかが気になるところだ。最初のうちは主に田子倉湖側の残雪が拾えたが、だんだん藪尾根上を行くことが多くなってきた。道行坂の手前では、藪を嫌い急斜面の雪面を下って向かい側の尾根まで登り返そうとしたところ、山口さんがスリップしてヒヤッとした。しかしすぐに滑落停止姿勢で止まったのでホッとする。結局藪尾根を行くことにして、雪面を登り返し、藪に突入。前毛猛までも藪が多い。途端に何故か元気になる山口さんと、よれよれになって遅れてしまう私・・・。
 前毛猛山の山頂は藪の中にあった。暑さで水も少なくなったため、ここで大休止して雪を溶かして水を作る。前毛猛山を越えれば、六十里越まではもうすぐだ。遠かった浅草岳もだいぶ間近に見える。「踏み跡がある」と他の記録に書いてあったし、と思いきや、やはり藪漕ぎで、「踏み跡しかない」という意味だったのかと納得する。
 六十里越付近には雪が残っていた。しばらく休憩した後、ここから下山したそうな山口さんを「登山道があるから大丈夫ですよ、行きましょう!」と促しつつ浅草岳の登りにかかる。浅草岳への登りは、所々夏道が出ていた。なるべく夏道沿いに登る。暑さにやられたようで、山口さんが途中から辛そう。1215mのマイクロウェーブのある地点で大休止、結局ここをテン場に決めしばしお昼寝タイムとする。しばらく休んだ後、水を作るより先にビールに手を出してしまった私達であった。

(5月4日)栗原記
 暑さで雪が腐らないうちにと、今日も朝早く出発する。ただ、昨日と違い、風が強くて寒いくらいだ。夏道を拾いながら行こうとしたら、途中残雪で道を外してしまい、何故か藪漕ぎをするはめになった。鬼ヶ面山から先、前岳までは東側が切り立っており、夏道が出ていなかったら厳しかっただろう。アップダウンが結構ある上、北岳までぐるっと迂回するようなコースになっている。前岳まで登ったところで、山口さんは浅草岳まで行かずにここで待っていると言う。せっかくなので、一人で浅草岳を往復する事にした。山頂には誰もいなかった。たどってきた山並みを眺める。もう毛猛山も遥か彼方だ。山行前はあんなに長いと思っていたのに、たどってしまうとあっけない様にも思う。
 浅草岳の下りでは、浅草岳に登ってくる人達何人かとすれ違った。トレースをたどるが、途中でトレースがなくなった。 地図を見ても道は間違えていないようなので、そのまま下ると登ってくる人がいて安心する。ヤヂマナ沢を渡る付近でも道がはっきりしなくなり、コンパスで方向を定めて進むが、途中でまたトレースにぶつかり一安心。下山した大自然館では予定していたタクシーが呼べず、バスを延々4時間近く待つ羽目になってしまったが、風呂に入り、山口さんとビールで乾杯してのんびりとした午後を過ごしたのだった。

【行程】
5/1 奥只見丸山スキー場第2リフト終点(12:25)
   〜1376m (14:30)〜未丈ヶ岳(16:05)
   〜大鳥池へ下る尾根の先BP(16:50)
5/2 BP(7:10)〜赤柴山(8:35)
   〜大鳥岳(9:40)〜一ノ沢山(11:30)
   〜毛猛山(14:40/15:00)
   〜1268m手前BP(15:30)
5/3 BP(5:55)〜前毛猛山(10:00/10:50)
   〜六十里越(13:05)
   〜1215mマイクロウエーブBP(14:15)
5/4 BP(4:45)〜南岳(6:00)
   〜鬼ケ面山(6:30)
   〜前岳(8:35浅草岳ピストン/9:10)
   〜五味沢大自然舘(11:45)
【地図】奥只見湖、未丈ヶ岳、毛猛山、守門岳、田子倉湖