TOP2005年記録

記録のない沢は面白い

信越/清津川ナラズ沢 (沢登り)

木下

【日時】2005年6月18日(土)〜19日(日)
【メンバー】L田邉、手嶋、田辺、木下


 僕にとって今年の初めての沢が会山行になった。「ナラズ沢」は記録も乏しく、過去に「わらじ」が3回ほど入っているが一番最近は1981年である。記録も遡行図も入手できず、地形図からは等高線の混んだところに連瀑帯が想像されるが、さて・・・

6/18 晴のち一時雨
 会山行となるとたくさんの会員が勢ぞろいし、力強さを感じる。赤湯への林道ゲート付近に車をデポし、にぎやかに出発。楽しく皆で林道を行く、棒沢パーティとお別れしてから一汗をかいて、鷹ノ巣峠に登る。深い森の中の道を下っていくと最初の橋でサゴイ沢パーティ見送り、赤湯に到着、なかなか長いアプローチである。
 西の沢、セバト沢方面のパーティは行程の長さから、足早に清津川本流の河原を歩いて行ったが、我がパーティは本日の行程に余裕があるので、山菜を取りつつ、ゆったりと進む。
 清津川本流は広い河原が続くが、膝程度の渡渉を右に左に繰り返し、1時間ほどでナラズ沢の出合に着く。ナラズ沢の水は濁っており、雪渓の崩壊を予想させる。しばらくはゴーロの荒れた沢で、平凡。私以外は山菜に目が早く、いろいろな収穫をしている。しばらくして沢が右折するところに5m滝が懸かる、「何もないかなぁ」と思っていたところに現われ気分も盛り上がる。手嶋さんが嬉々として初めに登っていった。少し飛沫を浴びて登る、爽快だ、今年の沢が始まったのだ。
 ゴーロとミニゴルジュ、そして雪渓が現われるが特に困難はなく遡行できた。雪渓の具合からあまり上部に進むと幕場がなくなりそうなので、標高1300mくらいの平坦地で幕とした。テントを張り、薪を集め、雨用にタープも準備して完璧!!せっかく持ってきたので私は竿を出して上流へ出かけたが、成果なく、多分魚はいないと思われる。
 帰ってくると皆さん特製の山菜料理ができており、各種アラカルトに舌鼓を打ったのでした。特に利香さんの揚げてくれた天婦羅は最高!でした。焚火を囲んで「山にいる」楽しい時間を過ごした。

6/19 晴のち雨
 今日は集合時間に間に合わすため、4時起床、6時出発である。昨夜、通り雨が降ったが、たくさんは降らず、青空を望む朝である。出発してすぐの小滝をやり過ごすと左岸より顕著な枝沢が入り、5m、3m滝を登っていくと左岸より稜線にいたる支流が出合う、水線を追いかけると緑の木々の中に20m程の美瀑が見える。
 壊れたブロックの間を縫っていくと長い雪渓となる。次第に両岸が迫り、ゴルジュ帯となった。右よりスラブ状の12m滝が懸かり、正面には石積状の5m滝となりその上に雪渓が架かっている。シャワーを浴びて5m滝を登り、雪渓を潜って出ると12m滝とはインゼルになっていた。見上げるとさらに20m滝が飛沫を上げている。登れそうに見えず、右の枯沢から巻く、浮石が多く慎重に高度を稼ぎ、落ち口目指して草付からバンドをトラバースする。田邉リーダーのナイス・ルートファインディングだ。
 小尾根に乗ってやれやれかと思ったが、さらにゴルジュは続いており、10m、5m滝が懸かっている。沢には降りられず、さらに尾根を上がる。急なので慎重を期して30m×1pロープを伸ばす。さらに上部は岩峰になっており、巻くとなればもう1P必要なので、ここから懸垂で下降する。20mで降り立つとやはりゴルジュの中で、すぐに雪渓が口をあけている。先に降りた利香さんの返事の遅かったのも肯ける。右岸の草付か雪渓右の凹角からロープを出せば雪渓に乗れるだろうと判断し、後続に笛を吹いた。真っ暗な雪渓の中に10m程入ってみると光が漏れている、「OK」。ここからランクフルトに体を入れて容易に雪渓の上に出れた。暖かい日差しがありがたい。
 ここからはずっと雪渓が続いており、スプーンカットに足を乗せて詰めていく。失敗したのは水を汲み忘れたことだ、稜線まで水を取ることはできなかった。手嶋さんが1Lほど持っていてくれたので大変に助かりました、さすがです。
 ナラズ山に向かう左俣へ行きたかったが、こちらはもう一ヶ所ゴルジュ帯が予想されるので時間を勘案にして右に入る。急な雪渓を登っていくと正面は赤い奥壁状ガレ、右は左岸に岩峰を立たせている。右岸のガレた露岩をだましだまし登り、最後の急な藪をヒーヒー言って縦走路に出た。
 ここから赤倉山までは比較的良い道だが、赤倉山からの下りはところどころ道を失い、きちんと整備されていない状態。途中の交信より我々が遅れていることがわかり、あせったが、赤湯の手前でサゴイ沢パーティに出会って「ホット」した。赤湯からの長い下山路を歩き、車に着いたところで雨が降り出し、本山行を終了。

 今回は山菜を堪能し、またいろいろな要素のある面白い沢登りでした。記録がないので次に何が出てくるの!?といったワクワクを久しぶりに楽しむことができました。
 最後に予想外に時間がかかり皆さんをお待たせし、申し訳ありませんでした、陳謝。次回は遅刻しないようにがんばります。

【行程】
6/18 林道ゲート(7:35)〜赤湯(9:10−25)〜ナラズ沢(10:25−11:00)〜BP(12:40)
6/16 BP(6:15)〜二俣(9:05)〜稜線(11:05−11:30)〜赤倉山(12:15)〜赤湯(14:30)〜林道ゲート(16:30)
【地図】佐武流山