TOP2005年記録

長いアプローチとゴーロ歩き

那須・男鹿/大蛇尾川西俣〜東俣下降 (沢登り)

小暮

【日時】2005年6月25日(土)〜26日(日)
【メンバー】L栗原、笹川、大田原、小暮


 林道入口で車をとめて歩きだす。入渓までひたすら長い道のりを歩く。樹林の間から見えた稜線ははるか彼方に見えた。登山道は、一箇所崩壊しているところもあったが概ね整備されていて、取水堰まで問題なく到着する。取水堰にある吊橋の上から見る本流は、エメラルドグリーンで透明度も高くて綺麗だ。二俣までは、河原歩きとなる。困難なところも無いが、代わりに距離が長い。一時間で、二俣に着いた。
 西俣に入ると、滝が出てくる。最初の8mと5mで2段で構成される滝は、左側のガレの横に残置の紐が垂れているので、それを使って越える。その先は、エメラルドグリーンの美しいナメ滝である。倒木帯を過ぎると、今度はコバルトブルーの釜。本当に、透明度の高い美しい色だ。その先もナメが続く。ここで8mの水量の多い滝があらわれる。巻きもかなり大高巻きになりそうなので、右岸の残置ピンに従って直登する。栗原さんが空荷でリードする。2つ目の残置ピンは、スリングを掛けて両足ともA0で抜ける。足元が滑りやすい岩で微妙だ。3人登ってから荷揚げした。続く4mの美しい滝は、左から入るルンゼから巻いて越えた。
 ここでコルジュ帯を抜け、沢は穏やかな河原となる。1時間以上、ゴーロ歩きが続く。この落差は何だろう。田舎町の河原を散歩しているみたいである。ようやくナメ滝が出てくる。12mのスダレ状の豪快な滝は、左側の潅木を掴んで越え、続くトイ状の8mの滝は、流れの横を登る。ナメを抜けると両岸の切り立った巨岩帯となる。大股歩きで巨岩帯を抜けると、再びゴーロとなる。釜とナメを交えたゴーロを40分ほどで、西俣大滝30mとなる。大高巻きも考えられたが、右岸の草付帯から登れそうとのことで、栗原さんトップで空荷で登り始める。最初の潅木でランニングをとったところで、一度降りて荷物を持って再度登る。途中、残置スリングが掛かっているが、その手前の泥壁が悪かった。後続もそこで苦労してかなり時間が掛かってしまった。最後は左側の際から落ち口へ抜け、続くナメ滝を越える。滝上もナメがしばらく続いている。
 核心はこれで抜け、あとはナメと規模の小さくなった沢を歩いていく。雪渓が何箇所か出てくるが、特に問題はない。今夜のおかずにと、これまでほとんど無かった山菜を探しながら歩く。ウドは無かったが、ウルイとコシアブラ他少々を見つけることが出来て一安心。明日も長いので、17時20分まで行動して、西俣から東俣へ乗越す枝沢の出合で幕を張った。
 幕場から稜線までは、一気に400m以上の登りとなる。沢はすぐに雪渓となり登りやすいが、雪渓もすぐに終わり300m以上の藪漕ぎに突入。最後は潅木交じりの蜜藪となり、なかなか疲弊させられた。稜線上は、潅木帯の中であるが、鹿俣岳の道路が見えて、山深いのか里に近いのか、変な感じである。下りは、東側の沢型を目指して再び藪を漕ぐ。ルート取りを間違えて、右岸の支尾根を越えてしまい、c.1600付近に降りた。
 東俣は西俣と違いコンスタントに高度を落としている。トイ状の10mの滝は残置スリングに従って10mの懸垂を2回する。c.1280二俣を過ぎ、釜を持った7mの滝は、釜の中へ落ちるのは嫌なので、右岸の藪を進んでから懸垂する。これらの懸垂も、もっとルートを探せば巻き下ることも可能かもしれない。続いて崩壊したスノーブリッジを抜ける。3段25m滝は、滑りやすいので慎重に上段を抜け、最後は、10mの懸垂で降りた。
 しばし進むと地元の釣り師と会う。竿を出しているので、気まずいが仕方ない。聞けば何度もこの沢を訪れている様子。我々が通りすぎてから、彼らも下山を始めたようで、その後何度か抜きつ抜かれつとなった。左岸から沢が交わり、ナメを過ぎると、釜がありここは泳ぎ下る。ここは右岸のトラロープで巻けばよかったかもしれない。その先、20mの大滝となる。左岸の残置スリングで懸垂したが、ここは左岸に釣り師の巻き道があり巻けるようであった。続く2段40m滝は、右岸に先ほどの釣り師の設置したロープが残されていたので使わせてもらった。
 その後は、小滝を幾つか越えてようやく二俣に戻った。二俣からは、長い河原歩きと登山道、林道を歩いて車まで戻った。長い沢だった。
 東俣は、長いゴーロも無くポイントとなる釜なども多いので釣りをするには西俣より向いているだろう。しかし水の美しさは西俣だと思う。また、この沢は長いので、日の長い今の時期に遡行するのが、一番いいのだろう。秋に訪れたら一泊二日だと、途中で日が暮れてしまうだろう。

【行程】
6/25 林道入口(6:50)〜取水堰入渓(8:35/50)〜二俣(9:50/10:00)〜西俣〜30m大滝(14:00/15:40)
   〜鹿又沢出合(16:10)〜c.1430二俣C1(17:20)
6/26 C1(5:30)〜p.1872北のコル(7:20/30)〜東俣〜沢型(8:10)〜c.1280二俣(9:50)〜二俣(13:50)
   〜取水堰(15:10/25)〜林道入口(17:30)
【地形図】日留賀岳・板室・関谷・塩原