TOP2005年記録

やっと念願を果たせた

2005年 夏の北海道 (沢登り)

関口


日高 ヌピナイ川

【日時】2005年8月6日(土)〜 8日(月)
【メンバー】 関口(L)、大田原

 ヌピナイ川を計画するのは、4度目になる。過去3回は、雷雨、台風などにより増水や林道決壊にあい、いずれも敗退、中止となった。今回も、現地入りしてから天候が安定せず気を揉ませたが、ようやく入渓する機会を得た

8月6日
 ヌピナイ川に沿う昭徳林道を、終点まで車で入る。この林道は、もう何度も通っているので、様子は分かっている。事前に想定したとおり、すんなりと入渓。
 しばらくは、川原を伴う穏やかな流れが続く。谷は広く、分流している箇所も多い。中州はだいたいヤブだが、所々鹿道が明瞭に認められる。これも北海道ならでは。
 507m標高点を過ぎると、谷は急に狭くなり、ゴルジュ帯に突入。すぐ雪渓に出会うが、これは上に乗って、そのまま巻きに入る。以後、ゴルジュは中を通過したり、通過が難しい所は巻いて進む。巻き道は分かりやすいが、一部いやらしい箇所もある。とある巻きの途中で、眼下に滝と釜の連続を望む。よく写真で見る景色だ。青い釜と、白い滑滝のコントラストが美しい。やはり、晴れていればこそ色が映える。
 655m標高点の所、左岸に傾斜の強い落差のある滑滝を2本見ると、ゴルジュも終わり。谷は再び明るく開け、今度は滑滝が続く。その滑滝が、多くの石に埋まってしまうと、奥の二俣であった。

8月7日
 ソエマツ岳へ突き上げる沢は、950mの二俣までたくさんの石が堆積していた。右は相変わらず石で埋まっているので、左へ入る。こちらは、滝が連続するようになり、なかなか面白い。谷は明るく開けていて、北アルプスの赤木沢を小粒にしたようだ。1250m二俣は、一般的には右だろうか。山頂へ直接出る。我々はあえて左を選んだ。水が涸れると、潅木帯から砕石帯、草原と移り変わり、稜線に達する。

 ここに荷を置いて、ソエマツ岳を往復。朝方、快晴だった空、今は雲に覆われてしまったが、雲間に遠望も得られた。荷物のデポ地まで戻り、ピリカヌプリへ向けて、主稜線を縦走する。
 前半、尾根は狭く複雑に屈曲していて、岩っぽい部分もある。やはり、日高の片鱗を感じさせる所だ。踏み跡は、概ね認められるが、ハイマツが濃くなると消えてしまう。 ピリカヌプリへの最後の急登が始まる手前で、今後の時間を計算し、北側の沢へ下りることにした。
 この沢はゴーロ状で、所々に滝がアクセントを添える。最後に、ちょっとしたゴルジュを抜けると、幕場の二俣であった。
 登れなかったピリカヌプリ。機会があれば、積雪期にトヨニ岳方面から訪れてみたいとも思う。

8月8日
 今日は下山。登ってきたヌピナイ川を下る。ソエマツ岳は、やはり山深い所だ。幾つかルートはあっても、これが一番早い。途中、成果は無かったが釣りを楽しみながら、昼過ぎには林道終点にたどり着いた。

【グレード】3級下
【行程】
8/ 6林道終点(7:15)−標高507m(9:50)−標高655m(12:55)−標高790m(BC)(14:25)
8/ 7 BC(5:20)−ソエマツ岳(8:30)−ピリカヌプリ北西1420m(13:00)−BC(16:00)
8/ 8 BC(5:55)−標高655m(6:50)−標高440m二俣(10:40〜11:30)−林道終点(12:55)
【地図】ヌビナイ川上流、神威岳、ピリカヌプリ、(トヨニ岳)


知床 モセカルベツ川〜イダシュベツ川

【日時】2005年8月10日(水)〜 12日(金)
【メンバー】 関口

 知床を訪れるのも、今度で4回目になる。昨年、4本の沢を継続遡行して、めぼしい沢を一気に片付けようとしたが、やはり台風で計画通りには行かなかった。今回は、それをフォローする計画となった。

8月10日
 まずは、ウトロの奥にある「知床自然センター」へ行く。知床は世界自然遺産に登録が決まったばかり。予想はしていたが、やはり昨年とは人出が違うようだ。今後、どのような展開になるのだろうか。
 車はここに置いて、バスに乗り、知床峠を越えて羅臼へ。更にバスを乗り継ぎ、モセカルベツ川の河口まで。右岸の林道を終点まで歩き、入渓する。がしかし、すぐ高い堰堤があり、右岸側を巻くことに。

8月11日
 この先、地図を見るとゴルジュを想像させるが、行ってみればそれほどでもない。ただ、聳立する岩壁が、威圧的な所もある。所々に巨岩帯を見ながら進んでいくと、大滝に出会う。標高380mの所であろう。やや立っているが、左壁はホールドが豊富。楽に登ることができる。
 ここから標高800mの辺りまでが、この沢で最も楽しめる所だろう。次々と滝、釜、滑が現れ、飽きさせない。標高680mの二俣は、雪渓に埋まり、雪の上を登っていたら、A0で越えるという滝を巻いてしまった。ここまで来ると、谷は浅くなり、空が広い。もう滝らしい滝は無くなり、雪田が断続するようになる。
 標高1300mの辺りは草原状で、沢型は消えて広場のようだ。周囲はハイマツに囲まれている。さて、ここからどうするか。若干の藪漕ぎで西側の溝を探し当て、後はすんなりと登山道に出ることができた。

 登山道を辿り、知円別岳の肩を回りこむと、第一火口が見下ろせる。今日の幕場だ。ザレた斜面を下り到着。近くには雪田があり、そこから澄んだ水が流れている。周囲の景色も素晴らしく、とても快適な幕場だ。日暮れまで、のんびりと寛いで過ごした。

8月12日
 幕場は、既にイダシュベツ川の源頭になっている。低い方へ進めばよい。水の涸れた沢を下っていくと、藪の中からミシミシッという音が…。姿は見えないが、恐らく熊だろう。これ以上距離を詰めないように迂回して、この場を通過する。
 やがて沢型は蛇行をはじめ、丹念に従っていくと、荒涼とした砂地の広場に出る。あまりに広いので、一瞬どちらへ進めばいいのが迷ってしまうところだ。出口は西側で、向かえば顕著な谷になっている。
 谷は、大きな岩がゴロゴロしており、下るのが面倒だ。それが突然滑に変わったら、先がスッパリと切れ落ちていた。眼下には知床の森が広がり、湖が点在している。知床五湖だ。その向こうはオホーツク海が。ここは15m程の滝で、懸垂で降りる。再び巨岩帯。それが滑に変わると、また滝だ。ここは、右岸をクライムダウン。
 標高650mの二俣。右は雪渓を前衛にスラブが続き、その奥には岩壁に挟まれて大滝が落ちている。なかなか凄みのある景 色だ。さらに、標高510mの二俣も、右側は同様。その後、沢は変化に乏しくなる。標高380mにある滝は、最後の見せ場。10m級の滝が2段連なり、壮観だ。これを巻いて下れば、林道まで僅かであった。
 カムイワッカの滝まで往復するバスが、埃を巻き上げながら通過する道を、知床五湖まで歩く。途中にゲートがあり、番人が話すには、「ここから奥は、歩きでも通さない。」とのことだった。知床五湖への車道は、駐車場に入りきれない車が、長蛇の列を作っていた。

【グレード】モセカルベツ川 2級上、イダシュベツ川 2級
【行程】
8/10河口(13:30)−標高180m幕場(14:45)
8/11幕場(5:45)−標高680m二俣(9:30)−登山道(13:20)
   −第一火口幕場(14:15)
8/12第一火口幕場(7:10)−標高650m二俣(10:20)
   −林道(13:05〜13:25)−知床五湖(14:15)
【地図】羅臼、硫黄山、知床五湖



礼文島 起登臼川〜アナマ川〜8時間コース


【日時】2005年8月16日(火)〜 17日(水)
【メンバー】 関口

 礼文島も、昨年訪れている。その時は、内路川を遡行して礼文岳に立ち、アナマ岩へ降りた。その後、アナマ川を遡り、起登臼川を下る予定だったが、稜線の藪漕ぎの凄さにめげてしまい、宇遠内から香深井へエスケープしてしまった。今回は、それをフォローするとともに、8時間コースの残りも踏破してみた。

8月16日
 フェリーと路線バスの連絡が悪くて、起登臼川河口の香深を出るのが11時過ぎとなる。この川は、1.5Kmほど入った所に小さなダムがあり、そこまでは歩道が延びている。ダムを過ぎたところで、沢へ入る。
 分かっていることだが、水の流れは始めから細い。なんでこんな所へ入るのかと問われれば、礼文島の自然の中に、どっぷりと浸かりたいからだ。沢へ入るのは、それが目的なのではなく、手段としてなのだ。
 流れは細くても、上流まで水量は余り減らない。礼文岳、二並山へ突き上げる流れを見送り、標高280mの分岐を左へ入っても、まだ水が流れていた。沢型も意外に深く、両岸から藪が被さるようになっても、屈めばトンネルのようになっている。思ったよりも楽に、稜線に出られた。稜線上は笹薮だが、丈は胸程度で、視界は良い。南を向けば、笹薮越しに利尻山が見える。昨年の激藪とは大違いだ。

 稜線から西に下ると、そこはアナマ川の支流で、傾斜はあるが何事も無く本流へ続く。やがて、昨年引き返した地点を過ぎて、見覚えのある滝を幾つか下ると、アナマ岩の海岸に出た。昨年と同じ場所を幕場とした。

8月17日
 今日は、「8時間コース」と呼ばれる山道を辿り、島の北端スコトン岬を目指す。昨年の分と併せれば、コース全部を歩いたことになる。
 最初に、いきなりの急登で、標高を200m上げる。更に緩く高度を上げて、290mに達してからは、緩い下りがずっと続く。このコースは、北から南へ向かうのが一般的なようで、道標もその方向にしか表記がない。私は、逆コースの方が楽だし、終点が島北端の岬であれば、より達成感も強いと思うのだが。
 前半は山の中で視界は限られるが、後半は開けてきて、展望が良い。最初に終点近くのゴロタ岬を見たときは、ずいぶん遠いと思ったが、歩けば近づくのは以外と早い。西上泊の分岐では曲がらずに、真っ直ぐ進む。車道に出てから、鉄府へ下る。西上泊からの登り返しを省略した。
 鉄府を過ぎると、順コースの人達とすれ違うようになる。ゴロタ岬は、一際花の多い所で、盛りの季節は過ぎていたが、今の季節ならではの花々が咲いていた。ここまで来れば、終点は間近。一旦海岸まで降りて、少し登り返すとスコトン岬に着いた。バスで来た観光客で賑わっていたが、しばらくすると誰もいなくなった。元々は静かな所なのだ。

【グレード】1級
【行程】
8/16香深(11:25)−稜線(14:50)
   −アナマ岩(16:10)
8/17アナマ岩(5:40)−車道(8:25)
   −スコトン岬(10:50)
【地図】礼文岳、船泊