TOP2005年記録

月明かりで北岳の写真を撮りに行ったのだけれど・・・

南アルプス/北岳 (縦走)

伊藤

【日時】2005年8月19日−21日
【メンバー】伊藤

 北岳の写真を撮るのがここ数年のテーマとなっている。ボーコン沢の頭からバットレスを撮るのもよし、北岳山荘・濃鳥方面から鋭くとがった北岳を撮るのもよし。厳冬期、青空に白く映える北岳が体力的には一番の課題か。2002年夏には朝焼けに染まるバットレスを撮ることができた。その時は新月で、長時間露光で星の日周運動も入れて撮影しようとしたが、北岳付近には明るい星はなくインパクトに欠けるばかりか、新月では北岳も写らず悔しい思いをした。今年は満月に合わせて登り、月明かりで北岳を撮ろうという目論見だが、心配は今年の太平洋高気圧の元気のなさ。都心は夏日が続くものの、山の天気はイマイチかも。 それでも準備を整え、芦安村に車を走らせる。

8月19日
 歩き慣れた大樺沢はいつも通り。沢から樹林帯に入るところで2日分の水をくみ上げると、途端に荷物が重くなる。通常の荷物に加え、長時間露光には三脚が必要だし、デジタル1眼レフに加え、やはりこだわったフィルムカメラ(手持ちのNikon-FE10が不調で急遽用意したのはF3。知っている人は知っている・・・重いんです)も持ち込んだため、山装備よりもカメラ機材のほうが重い、という感じだ。天気はというと、昼前から大樺沢にガスが沸き、今晩の天気が思いやられる。北岳山荘に到着する頃には霧雨で、こうなると使わないカメラ機材はただの歩荷荷物となり、ひたすら泣くばかり。早々にテントを張ってふて寝するが、夕方には雨もやみ、少しだけ期待が持てそうだ。しかし北岳にはガスがかかり、写真が撮れるような状況ではない。今日は無理かなぁ、と完全にシュラフにもぐりこむ・・・  が、ふと夜半に目が覚めると、なんとガスは切れ、北岳の全貌が見えているではないか!! これは!と飛び起き、早速撮影に入る。あらかじめロケハンしておいた箇所に三脚を据えて撮影開始。しかし、なんとF3は電源系統の故障か? まったく動かず、ここでも大泣き。仕方なく、デジタルカメラに期待をかける。デジタルカメラの利点はその場で撮影具合が確認できることだ。撮れ具合を確認しながら絞りを調節して3分程度の撮影を繰り返す。1時間ほど粘って撮影するが、さすが3000m弱の標高に加えて風は強く、すっかり体が冷え切ってしまった。

8月20日
 今日は朝からよい天気。朝焼けは見たものの、正面から朝日を浴びるバットレスのようには赤く染まらず、写真はパス。朝食後、間の岳方面から何枚か撮影して、移動開始。荷揚げのヘリも来た。天気が良いとお花畑のキンロバイやトリカブトが映える。キタダケソウとも久しぶりのご対面だ。8月は花の時期ではないが、ここは素直に喜ぶ。
 八本歯を越える頃から大樺沢にガスが沸き始めた。ボーコン沢の頭までくると目の前にバットレスがバーンと見るのだが、お目当ては昨日に引き続きガスの中。「父さんの言ったとおりだ。あの雲の向こうにラピュタがあるんだ!!」とパズーになる(「天空の城ラピュタ」より)。この後もガスは晴れず、テント脇で昼寝、にわか雨でテントへ追いやられ、を繰り返し、ラジオ(甲子園の決勝戦)を聴いて時間をつぶす。

       夜景はこんな感じ(180秒露光)                 間の岳方面から

          ヘリも到着                         頑張るキタダケソウ

 今回の撮影のメインは、やはりボーコン沢の頭からのバットレスである。日が暮れる頃からちらちらとテントの外を覗き様子を伺うが、なかなかバットレスからガスが切れない。昨晩のこともあるから、と1時間くらいおきに外を眺め、ガスが少ない頃を見計らって撮影にトライ。なんとF3も復活して、数枚撮りこむ。しかし、昨晩のようにすっきり晴れ渡ることもなく、時折ガスが薄くなる程度。またの挑戦が必要となった。

        なかなかガスが切れない                  時折ガスが切れるが・・・

8月21日
 夜景は無理でも朝焼けに期待、と早起きするも、どうしてもバットレスからガスが切れない。だいぶ日が昇ってからも同じなので、次回への宿題として大樺沢を降り、広河原からバスに乗り込んだ。 夢の実現はまだまだ先だなあ・・・(楽しみでもありますが)

          キンロバイ                        トウヤクリンドウ(多分)

         シロバナタカネビランジ(多分)                   クルマユリ

          ミネウスユキソウ                         チシマギキョウ
 ハクサンイチゲはもう終わっていましたが、他にも色々な高山植物が百花繚乱。きれいな花を見ると、沢歩き&焚き火も良いけれど尾根歩きもいいなあ、と思います。 冠名は良く調べないと判りません(^○^)  (多分が多すぎ・・・)
    ご存知、トリカブト