TOP2005年記録

会越国境の隠れた名渓

会越国境/風来沢川河原井戸沢〜風来沢下降 (沢登り)

手嶋

【日時】2005年8月27日(土)〜28日(日)
【メンバー】L手嶋、古野、木下

 風が来る沢、風来沢と書いて「かさぎさわ」と読む。以前会山行をやった霧来沢(きりきたざわ)の東隣の流域だ。どちらもとても素敵な名前で、気になる存在である。記録を見たのは郡山山岳会の会報であり、同じ行程で溯下降していた。彼らは日帰りであったが、我々はどうせ朝も遅いし、そういうわけにはいかない。ゆったり目の1泊で行くことにした。

8月27日
 風来沢川林道は途中で崩れており、そこから入渓点の橋までは30分ほど歩いた。沢は平凡な流れから始まる。このあたりに結構あるアシの原を両岸に見たりしながら、ゴーロを行く。やがてゴルジュが始まり、気が引き締まる。この一番目のゴルジュは簡単に突破できたが、ここからほぼ連続的にゴルジュが続く。
 この沢のゴルジュの突破はとても楽しい。始めのうちこそ行き詰ったらどうするかと結構気になっていたが、だんだんどこも確実に突破できることがわかってからは緊張感も薄くなり、楽しみの部分が増してくる。
 木下さんは風邪をひいているらしく、調子が悪そうだがどんどん水に入っている。時にはザイルを引いて泳いでくれたりする。そういう時は体調不調も忘れているようだ。  1時間20分ほどで最初の大きな二俣、さらにはそこから2時間弱で552mの二俣で、このあたりにテントを張ろうと思っていたが、どうにもテン場適地はない。どうもこの沢は地形図から想像する地形とは大分様相を異にしているようだ。テン場探しに30分近くをかけてしまったが、結局適地は見つからず、先に行くことにした。
 結局テン場は初めて現れた3mの滝の右岸の高台に求めることになった。こことてもヤブの中のわずかな平地であった。しかし焚き火をつけて酒を飲み始めてしまえばこちらのもの。楽しい沢の夕べが始まる。この後夕マズメで尺物も釣り上げて、刺身を含むイワナ料理を堪能することができた。

8月28日
 明け方に結構強い雨が降った。木下さんの調子が悪そうだ。行けないかもしれないという。しかし食事をしている間に大分調子が戻ったようで、「まあ行けるだけいってみますか」ということになった。
 ちょっとしたゴルジュを抜けると、今までずっと両岸が迫りテン場など全くなかった沢が突如広く開け、どこでも泊まれるようになった。昨日ここまで来ていればと思いはしたが、まあ昨晩も気持ちよく寝られたし、大体地図からはあまりテン場適地とは読み取れず、昨日の選択は一般的には正解と言っていいだろう。
 その後沢は再びゴルジュになり、ついにこれまで1つしかなかった滝が現れ始めた。どれも快適に登れるがそれも4つで終わってしまい、平凡なツメへと入った。源頭部はスラブかと思ったがほぼ薄めのヤブであり、それほど労なくして1103mのすぐ北東の鞍部へとツメ上げ終了となった。

 郡山山岳会の記録では少し尾根を行ってから風来沢本流を下降している。しかし記録を見ると直下のスラブ帯で3ピッチの懸垂、さらにその下は滝が続き何度か懸垂をしているので、これは面倒ということで、尾根を下降することにした。
 尾根のヤブをこぐ。この尾根には大きな天然杉が目立つ。1103mピークに立つとあたりを一望できた。御神楽岳を始めとして取り巻く沢の源頭部、そして真下の風来沢源頭、霧来沢のあたり にはスラブがそこここに広がる。それはそれはなかなかの景観であった。それにしても風来沢本流を下るには、確かに懸垂が必要そうだ。逆に登ったら気持ち良さそうなスラブ帯である。
 予定どおり尾根を南下、ところどころシャクナゲのヤブがひどい。国境稜線に出てからトータル1時間ちょいで尾根が一瞬東へ曲がるピークがあり、そこから南西に派生している尾根を風来沢に下る。この尾根はちょうど風来沢がそこから急になるという直前に降りており、当初から目をつけておいた。
 尾根は急で、かつヤブが濃い。とてもスタスタと駆け下りるわけにはいかず、慎重に1歩1歩下降することになる。時には小さな岩峰も現れ巻き降りる。やがて左下に見える支沢が近くなり、穏やかそうに見えたので、そろそろヤブ尾根下降もあきたこともあり、こちらへ降りることにした。
 降りてみると意外と険しい部分もあり、1ヶ所懸垂をしながら滝の下降を繰り返し、それでも特に問題なくやがて風来沢本流へたどり着いた。ここまで来れば、あとは穏やかな沢を下るのみである。本当に全く何もない穏やかな流れ、言い換えれば下降には最適な沢を下ると大きな堰堤に到着し、この左上にヤブに埋もれた林道を見出してこれを下降し、車に戻った。
 このあたり、隣の霧来沢と結べばルートはいろいろと取れ、面白い沢旅ができそうだ。

【グレード】総合3級
【行程】
8/27 林道ゲート(9:40)〜入渓(10:10)〜始めの二俣(11:30)〜552m二俣テン場探し(13:25/13:50)
   〜3m滝上B.P.(14:30)
8/28 BP(6:15)〜国境稜線(8:55/9/10)〜下降点(10:20)〜支沢(11:20)〜林道(13:30)〜車(14:15)
【地形図】御神楽岳、貉ヶ森山、安座、沼沢

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