TOP2005年記録

一度は訪れたい美渓

御嶽山/王滝川鈴ヶ沢東股〜中股下降 (沢登り)

田邉(一)

【日時】2005年8月28日(日)
【メンバー】L田邉(一)、石間、栗原

 昨日は泳ぎ系の人にはお奨めの柿其渓谷で水と戯れ、ゴルジュ突破を十分に楽しんできた。あまりの楽しさで調子に乗っていたら、二日間の予定を一日で終えてしまったのであった。 急遽、手元にあった名古屋ACCの年報をめくり、近場の沢を物色していたら、以前うちの会のメンバーが訪れて、お奨めだと聞いたことのある鈴ヶ沢が目にとまった。
 遡行図が年報に載っていたが地図を持って来ていなかったので取り敢えず、エアリアマップを買うべく本屋を探すことにした。この近くには売ってそうなところもないだろうということで木曽福島駅まで探しに出かけた。
 木曽福島駅周辺には本屋が3件ほどあったがエアリアマップは置いてあっても「御嶽山」だけがなぜか品切れだった。駅の売店やコンビニで聞いたりと、八方手を尽くしたが見つからず、途方に暮れていたところで国道19号に大きめの本屋を発見。 ここなら「御嶽山」のエアリアも置いてあるだろうと、勇んで店内に入ったのだが、ここにも「御嶽山」のエアリアだけがなぜかない。店のおばさんに聞いてみたところ「御嶽山」のエアリア は改訂中だということで置いていないのだということであった。 食事もとらずに探し回っていたのでどっと疲れて、明日は観光かとあきらめムードが漂っていたところ、店のおばさんが「エアリアはないが2万5千分の1の地図ならありますよ」と予想していないことを言ってくれた。何とか地図を手に入れてその晩は道の駅・三岳に泊まった。

 翌朝、6時起きで鈴ヶ沢橋に向けて出発。道が入り組んでいるので分りづらいところがあったが、カーナビに助けられて何とかたどり着いた。橋の先にはゲートがあるので車はここまでである。
 鈴ヶ沢橋に着くと、ちょうど1パーティーが出発するところであった。車は我々のを含めて計4台が停まっていた。
 ゲートから三沢橋までは30分の林道歩きである。三沢橋から入渓するとすぐに中股を分けて三股となっている。東股を進むとすぐにナメ滝が現れ、次の5m滝は右から巻き気味に越えた。
 その後もきれいなナメ床続いて一旦、橋を架けて林道が横切る。この橋から入渓するパーティーもいるようだが、せっかく沢に来たのだから林道歩きよりも沢から行くことをお奨めします。
 橋をくぐったところで釣り師に遭遇。休憩をしているようだったので軽く挨拶をして先へと進む。
 短いゴーロを過ぎるとまたナメが現れた。ここのナメは溶岩質で礫を含んだ独特な感じがある。
 ナメを進みカーブを曲ると、みごとな直瀑の大滝が現れた。なかなか迫力のある滝だ。右岸を他のパーティーが巻いているのが見えたのでこちらが正規ルートだというのがすぐにわかったが落石が怖いのと、へそ曲がりな我々は左岸でも巻けるだろうということで強引に左岸から巻いた。
 25m滝を越えた後も小滝とナメの続く素晴らしい景観がしばらく続く。豊富な水を流しているトイ状の滝やきれいな釜が現れ、泳ぎを交えながら進むと、休憩している2パーティーほどに出合った。飛騨山岳会と名古屋ACCの方たちであった。軽く挨拶をかわし先へと進む。
 トイ状10m滝とナメ滝を越えると水の浸食でタコ壺のような釜を持ち、そこから水が岩の下を流れている不思議な自然の造形を見ることができる。その上が5mのトイ状滝になっているのでスライダーをしたら、自力で上がるのは至難の業だ。
 その先の5m滝を左岸から巻くと左右からスラブ滝が合流して、真ん中が岩の小山になっている不思議な感覚の風景を見ることができる。この7m滝を右から登ると、またナメが続いており、次々と変わった風景を見ることができるので飽きることがない。
 大きな横穴を右に見ながら通り過ぎると5mトイ状滝が現れる。この上もまたナメが続く。どこ までも続くナメがようやく終わり、あたりがゴーロ状になってきたところで左からガレ状のルンゼが入る。我々が進むのは、本当はこちらであったのだが、あまりにガレぽく見えたので、本流の様子を見に少し先に行ったがそれらしい支流がないので引き返した。
 枝沢は水が流れていないかと思ったが若干は流れており、進むと10m程の滝があった。その先で水が涸れそうだったので水を汲み、ゴーロの中を進むとあたりが開け、荒涼とした台地が現れた。ここからの御嶽山の眺めがなかなかよい。
 ここから中股に入るのに名古屋ACCの記録では、台地状を回りこんで中股の源頭から下降していたのだが、我々は小三笠山のすぐ裏側を通り抜けるようにショットカットしたのだった。しかし、これが失敗で藪が濃くてかえって時間がかかってしまったようであった。
 中股に入ると始めはゴーロや倒木の渓相であったがすぐに赤いナメが続く、気持ちのいい渓相に変わった。
途中、10mや7m程度の滝が現れるがどれも簡単に下降できるので心配ない。ここは下降に適した沢だ。
 十分にナメを堪能して林道に出合ったが、その下にもまだ素晴らしい棚段のナメが続くということだったので続けて沢を下ってみると果たしてそうであった。
 このルートはナメに始まり、ナメに終わる。途中には滝登りや泳ぎがでる変化に富んだ沢で1日遊ぶにもってこいの沢であった。
 東股に戻り、林道に上がった頃には二日間遊んだ心地よい疲れが出ていたが皆、満足気な顔であった。
 帰りは名古屋ACCの方に教えてもらった温泉に寄って汗を流して帰京した。

【グレード】東股2級、中股1級上
【行程】
8/28 鈴ヶ沢橋(8:00)〜三沢橋(8:30)
   〜25m大滝下(9:30)
   〜小三笠山ガレ台地(12:40/13:00)
   〜三沢橋(15:10)
【地形図】御嶽山、御岳高原