TOP2005年記録

行列のできる沢

谷川連峰/万太郎本谷 (沢登り)

大田原

【日時】2005年9月3〜4日
【メンバー】鈴木(L)、関口、三坂、大田原
 万太郎本谷は、オキドウキョウなど水線通しに楽しめるところだ。しかし私は知らなかった。他の3人がカナヅチであることを・・・。

 予報に反して朝の天気は良好、我々は谷川新道を使って時間短縮を試みる。谷川新道の道は決してよい道ではなく、暑さもあってペースは上がらない。大ベタテ沢を下降して本流へ下り立った頃にはもう9時を回ろうとしていた。先行している他パーティーらの足跡を追いながら、遡行を開始する。オキドウキョウのトロは期待していたよりとても小振りなところで、ポンと飛び込めばすぐに対岸の足の着くところへ行ける。簡単そうだと思って、私は先頭で水に飛び込む。暑かったのでとても気持ちよい。対岸へ這い上がって振り返ると、鈴木さんが 「お助けを出せ」と言っている。私は普段お助けなど出す立場でないからそんなものは持っていない。それに私でも簡単に越えられるところだから、みんな飛び込んで来ればいいのに…。不思議に思いつつも対岸から飛んできたお助け紐を使ってみんなを引っ張った。そして、ここで気が付いた。私以外は泳げないということを…。というわけで、次々出てくるトロ&小滝地帯を私一人楽しんで水線通しに抜けていった。ちょっと泳いで取り付けば私でも何の問題もないところでも、ベテラン3人衆はどう突破しようか真剣に悩んでいる。泳げるか泳げないかでは違うんだなあと思った。そして、トマに入って初めて自分の力で突破していく楽しさを感じた。私は登攀力もスピードもないのでいつも人の後ろから着いていくことになる。しかし今回は期せずして、積極的に自分の力で進んでいくことを経験させてもらえた。しかし、試しに流れのあるところなどを泳がせてもらったりして遊んでいたら、結構時間を食ってしまった。午後から雷雨の予報なのに…。11時半ごろになると、遠くからゴロゴロと聞こえ始めた。「いやな音だなあ」と言い合いながら歩いていくと、一ノ滝の登場だ。するとあっという間に空が真っ黒になったので急いで右から高巻きにかかる。それと同時に大粒の雨が降り出した。とりあえず巻き終わるところまで行って、そこで待機することにする。水を汲んだりしていたら、あっという間に本流は濁流と化していた。そしてあっという間に流れから出ていた岩が濁流の下になり、見えなくなっていった。安全なところにいたから冷静でいられたが、こんなすごい増水を目の当たりにしたのは初めてで、身震いする思いだった。一時間くらい待機していただろうか。雨はやみ、すぐそばから焚き火の煙が流れてきた。「きっとトマのパーティーだ!」と鈴木さんと関口さんが様子を見に行く。対岸に石井Pがいるようだ。ある程度減水してきていたので、石井さんにお助けをもらって対岸へ渡り、焚き火をおすそ分けしてもらって一緒に泊まった。雷雨時はあっという間に増水した流れも、雨がやむとあっという間に平水に戻っていった。焚き火を囲んでいると、後から後から人が登ってきて通り過ぎていく。否が応にも沢の人気を実感させられた。

 雷雨の心配があったものの、朝の天気はよいので予定通り進むことにする。ちょっと進めばすぐに二ノ滝が登場する。右から簡単に登れるが高さがあるので、落ち口の渡渉を含め気をつけながら各々登った。イシクラ沢を望むと、登っていく手嶋Pと石井Pが見える。インゼルかと思って左の方を進んでいたら、そのままイシクラ沢へ入ってしまっていたので、ちょっとしたヤブを越えて本流へ戻った。小滝を越えて進んでいくと、正面に大きな滝が見える。近づいてみると、それは本流ではなく支流の滝で、すぐ左手に本流の三ノ滝があった。一段目は右から関口さんがリードして登る。さすが人気の沢で、残置はたくさんある。1段目を上がると三ノ滝沢が一望でき、その半ば辺りを進む田邉Pが見えた。互いに手を振る。二段目は水流もろ浴びでバンドをトラバースし、右手の支流へ入る。鈴木さんがリードしていってくれた。支流からヤブの中の踏み後をたどり、滝の落ち口へ至る。我々は一番に取り付けたのでよかったが、後に何Pもつかえているのをみると、人気の沢も考えものだと思えてくる。三ノ滝を越えれば後はもうひたすらつめ上がっていくだけだ。次々現れる小滝を越え、細くなっていく水流を忠実に辿っていく。久々の山行となった三坂さん、傾斜の強いつめは辛そうだ。稜線で雷に見舞われる心配があったので、茂倉新道と天神尾根の二手に分かれて下山することに。私と関口さんは最後の低いササ原を抜け、11時には登山道に出た。周囲はガスに覆われていたが、まだ雷の音は聞こえなかった。我々はそのまま予定通り登山道を歩く。ガスっているのに何故か登りにかかると晴れて暑い。一ノ倉岳についたところで鈴木さんに電話してみると、鈴木さんたちも順調に天神尾根を歩いているそうで安心した。雷の音は1度もしなかったが、矢場ノ頭からはとうとう雨が降り出した。つるつる滑る登山道に苦労しながら単調な道をひたすら下ると、16時前にようやく車の待つ茂倉新道入口へ帰りつくことができた。

【行程】
9/3 吾作新道入口(8:05)〜大ベタテ沢出合(8:50)〜オキドウキョウ(10:00)〜井戸小屋沢出合(10:55)
   〜一ノ滝上(12:50)
9/4  オタキの沢出合(5:55)〜イシクラ沢出合(6:30)〜三ノ滝沢出合(6:50)〜三ノ滝上(8:30)
   〜ノゾキ沢出合(8:50)〜谷川岳トマノ耳(11:15)〜一ノ倉岳(12:30)〜矢場ノ頭(14:00)
   〜茂倉新道入口(15:50)
【地図】】茂倉岳、水上
【グレード】2級