TOP会員山行録2006年

乾燥した西風に硬く締まった氷曝に遊ぶ

西上州/荒船山周辺の氷曝(アイスクライミング)

高橋

 当初暖冬が予想されていた今シーズンだったが、何はからんや12月に入ると寒気の噴出しが連続し、各地で近年にない絶好の氷曝が作られている。
 西上州もご多分に漏れず乾燥した西風に吹き晒され、硬く締まった氷が雪のない岩壁に造り出されている。大晦日、元旦と精力的に偵察に駆け回ったが、何処の滝も遜色がないほどの出来だった。そこで今回は至近距離で、雪もなく、アプローチが楽な西上州の氷を楽しむ事になった。

【日時】 【メンバー】 【ルート】
2006.1.7 L高橋敏夫・石井幸志 神津牧場・アパッチ広場
2006.1.8 L高橋敏夫・川鍋磨亥・石間 実・藤岡隆司 相沢・仔犬殺しノ滝
2006.1.8 L石井幸志・棚橋 勇・佐貫悦子 神津牧場・アパッチ広場
2006.1.9 L高橋敏夫・石井幸志 ・石間 実 御場山・西ルンゼ
2006.1.9 L棚橋 勇・佐貫悦子・川鍋磨亥・藤岡隆司・岩田真輝 相沢・仔犬殺しノ滝

【神津牧場・アパッチ広場】
1月7日 高橋・石井
 この日は朝から厳しい冷え込みが続き、アパッチ広場の左「シャイアン」、右「アパッチ」の氷柱は何れもシッカリと凍ってはいたが、朝一番からこの氷に取り付く勇気はなく、アパッチの右隣の「チェロッキー」を登り、落口からトップロープを掛けて遊ぶ。
 しかし、トップロープでも垂直の氷柱に手こずり、腕の力を消耗してしまった。
1月9日 石井・棚橋・佐貫
 咳がひどく、風邪ひきの佐貫さんを気遣い、出発を大幅に遅らせて現地へ。
 昨日登った石井君が<シャイアン>にロープを棚橋君が「チェローキー」から登り、「アパッチ」にロープを張って遊ぶ。

【仔犬殺しノ滝】
 早朝道の駅に集合し、「神津牧場」Pと分かれ「相沢・仔犬殺し」に向う。幸い林道は凍っておらず、楽々終点まで。よく踏まれたトレースにはベニガラを撒いた様な気味悪い赤いシミが続いている。帰りに判明したのだが、地元猟友会の人が獲物の「鹿」を引き摺った跡らしい。
 45分程で到着した「犬殺し」は昨日登ったクライマーの話し通り、氷柱の所々が欠けてボロボロ。とても我々の手に負えるものではなさそう。「仔犬殺し」に石間君がロープを引く。見た目には易しそうだが、今回は「リーシュレス」に挑戦している彼の登りは慎重そのもので、じっくり時間をかけて登攀する。隣の「犬殺し」にはチーム84の菅原氏が華麗なムーブで・・・。実に上手で、難しいはずの氷柱が易しく見える。トップロープで遊んでから、上の小滝に向かい、グサグサの氷を藤岡君がリード。懸垂で下降するが、ここで大失敗。F2にスクリュー数本の置き忘れが判明。石間君にもう一本リードしてもらう羽目に。結果的にはこのリードが本日一番の出来だったようだ。


「仔犬殺しノ滝」全景

 F2にロープを引く藤岡君。
 右端は水がジャージャー流れていて決して快適な登攀とは言い難い。
 落口に立つと「胎内くぐり」を潜って「犬殺しノ滝」の落口に立てる。


【御場山・西ルンゼ】
 当初は「立岩三ルンゼ」に計画だったが、帰りの温泉への集合などを勘案して、昨夜到着した岩田君や登り込みを希望する棚橋君らの「仔犬殺し」Pと別れ、元日の偵察時に素晴らしい氷が着いていた<御場山・西ルンゼ>に向う。現地で準備中、本間プロガイドご一行3名に先陣を取られてしまう。プロの登攀を勉強させてもらいながら眺めるF1は登り始めの10m位は氷が薄くて支点が取れない。偵察からたった一週間なのにこの氷の痩せようは?連日の晴天続き、乾燥した西からの寒風に吹き晒されての結果だろうか。石間君がリーシュレスでロープを引くが、今日はバイルの打ち込み、足の蹴込みが甘い。見ていてチョット怖い感じだった。フォローしてみると氷は薄いが硬く締まった実に良い氷だった。石井君は今日も調子が悪いとこぼしている。見た目にはそんな感じはしないが、何か納得できない部分があるのだろうか。

F1にロープを引く石間君。この辺りまでノープロテクション。
脆い硬い氷のF2を攀じる石井君

「F3全景」
今年も元気でここを訪れる事が出来た喜びを実感するのは私だけだろう。
硬い氷に取り付いた石井君