TOP会員山行録2006年

バリエーションルートの定番

八ヶ岳/阿弥陀岳南稜(雪稜)

棚橋

【日時】2006年4月22日(土)
【メンバー】棚橋(L)、佐貫

 この1ヶ月間、軽い荷物でのスキー山行ばかりだったので、GWを前にして重荷を背負って歩いておきたかった。当初は越後方面を計画したが、その方面は前線を伴った低気圧の通過が予想されたので、八ヶ岳に転進した。しかし出発を前にして、低気圧の進路は南岸に向いてきた。

4月22日 晴れ
 翌朝、舟山十字路に移動し駐車する。アイスクライミングの季節を終えているためか、駐車車輌は我々も含めて3台のみである。前に阿弥陀岳南稜を訪れた時は広河原沢右俣の氷結した支流を詰めて取り付いたが、今回は最もオーソドックスに旭小屋からとする。
 林道には薄っすらと雪が被り、先行者(単独)の足跡が窺える。この季節なら「軽装で日帰り」のスタイルが多いのかも知れないが、我々はトレーニング山行であるので敢えてフル装備で臨んでいる。旭小屋から雪の無い急登に取り付くが、そこで私は体調不良を感じた。しかし無理をしなければ大丈夫だろうと判断し、じわじわと進む。登るにつれて、だんだんと雪が現れ出しホッとする。それにしても驚いたのは、次々と現れるものすごい数の「茸取り禁止」の看板。とても秋には来れない...。
 尾根は登るに従い氷結勝ちになってきたので、アイゼンを着ける。更にもう一登りすると広い山頂の立場山に到着。そこからしばらくの間は、特に問題となる所は無い。しかし今日の私にとってはかなりの苦行であった。無名峰にて先を望むと佐貫がP2に取り付いているのが見え、私に気が付いた佐貫が遅れている理由を尋ねるので「体調が悪い」とだけ答えた。ここから引き返す提案も受けたが、ここまで上がっているのであれば山頂まで2時間は掛からないだろうし、御小屋尾根からの下降だって3時間も見込めば十分だろう。このルートを引き返すのも気が進まないので、そのまま続行することとする。
 核心部であるP3への登りは、以前来た時と同じように左から廻り込んでルンゼの様子を見たが、雪もしっかりと付いており状態は良さそう。フィックスロープがあるらしいが埋まっているようなので、ここはダブルアックスで取り付く佐貫に続く。雪が締まっているのでアックスおよびアイゼンも効き、快適に登れた。その後のP4、P5は露岩しているところもないので、重い体に鞭打って只々耐えながら登る。そして山頂には、あっさりと到着した。
 阿弥陀岳の山頂は標識が殆ど埋まっており、積雪量の多さは想像以上だ。すぐにでも幕を張って横になりたいところをぐっと我慢し、御小屋尾根から下降を開始する。ここは下り始めが急だが、後は明瞭な尾根をひたすら下りるだけなので気が楽だ。急なところを下りるまでは何とか頑張れたが、それ以降は頭痛ばかりか吐き気まで催し、モウ「牛歩」状態。佐貫を大分待たせながらの行動しか取れないが、どうにもならない。スリップの心配が無くなった辺りでアイゼンを外したが、ここで共同装備のロープまでも持って貰い、這う這うの体で舟山十字路に辿りついた。

 阿弥陀岳南稜は展望・ロケーション共に良く、「バリエーションルートの定番」であることが再認識できた。それより何より「体調管理の重要性」を改めて思い知らされ、無事に下りてこられて本当に良かった。とにかく辛い山行だった。

【行程】
4/22 舟山十字路(6:35)〜 旭小屋(7:30)〜立場山(9:45/10:00)〜P3(12:30)
   〜阿弥陀岳(13:00/10)〜舟山十字路(17:30)
【地図】八ヶ岳西部