【日程】 2012/4/28〜5/3
【メンバー】 佐貫(L)、棚橋
【ルート】 御神楽岳〜貉ヶ森山〜中ノ又山〜駒形山〜三川分水峰〜魚止山
初めて室谷川を遡行した2005年からいずれはと思っていた源流一周ルートを歩くことができた。予想以上の暑さに苦しめられながらも、美しい源流の風景・迫力のスラブの眺め・ブナの点在する雪尾根・ケモノ道を探しながらの藪漕ぎと変化に富んだ山旅で、充実の6日間となった。
4/28 快晴
室谷集落から橋を渡ってセト沢林道へ入ったところからほぼずっと雪。林道は土砂崩れや路面のえぐれが見られ、雪が消えても車で登山口まで入ることは無理だろう。登り始めてからしばらくは随所に水の流れが顔を出しており、重荷と高温もあって休憩の頻度が高くなる。
縦走の初日に一番メジャーな、かつ最も標高の高い山に登ってしまうのも何だかな〜と思いつつ御神楽岳に立つ。正面に矢筈が見えるがとても遠く感じる。
途中の尾根が黒っぽいよ〜!
本名御神楽岳の小屋を使わせていただいた。
4/29 快晴
出発して10分程雪面を登ると、県境が南に折れるまで2時間の細尾根の藪漕ぎに突入。
転落注意の藪漕ぎ開始
左下には前ヶ岳南壁スラブが迫力ある景観となって広がっていた。藪から抜け出してまずは日尊ノ倉山に立ち、林道本名津川線が通る鞍部を越えて貉ヶ森山を目指す。ブナの大木が点在する、たおやかな尾根。気温が高く、暑さがこたえる。
たどってきた御神楽岳(奥)と前ヶ岳(手前)を振り返る
次の目標、貉ヶ森山へ
雲河曽根山への尾根を分け、西へと下り始めると、蒲生川源頭と林道に挟まれた県境稜線はこの上無く美しいところだった。個人的には「新潟・福島県境の中でも指折りの素晴らしさ」と感じた。
ここに立っただけでも来た甲斐があったというもの
しかし目標の東岐山への最後の登り返しは藪だった。暑さ疲れもありその手前鞍部で行動終了。
4/30 曇りのち快晴
朝一の藪漕ぎで東岐山に立つと、本日の行程には予想通りほとんど雪がついていないことが確認できる。それでもたまには鉈目やケモノ道があったり、雪を拾えたりするので多少は気が楽だ(=「終日、断続的な藪」ともいう)。低灌木が多いものの、尾根が細いところに限って生えている松の木から真横に張り出す枝が何と言っても一番面倒だ。
この木がなければ楽なのに…
雪藪藪藪雪藪藪・・・
中ノ又山には届かず、また借金が増えてしまったが、この日の幕場も快適だった。
5/1 快晴
暑さ対策のため、この日から起床時間をさらに30分早めて2時起き4時出発とする。中ノ又山の1つ手前の無名ピーク942mまでの藪は長く濃かった。
あと少しで脱出か?
やっと白い斜面にたどり着いて中ノ又山山頂の三角点に触れる。ここから少しの間は快適な雪上歩行で、毛無山に向かったと思われるトレースが見られた。
前方には懐かしの毛無山
しかし我が身はいつしか藪の中。見る限り、駒形山までの稜線は数か所を除き黒々としている。事前に一番心配していたc915からの下りはやはり今山行中の核心となった。頭上にせり出した雪塊がいつ崩壊してもおかしくないような高温の中、尾根ともいえない斜面の低灌木をつかみながらデブリで埋まった下部の沢型を目指して一気に下る。
ブロックが落ちてきませんように
V字状の雪渓の間の灌木帯を下った
写真では緩そうに見えるが、なかなかの急斜面であった。
昼下がりの暑さの中、結局この日も残業よりは翌日の早出を選択し、最低鞍部で幕とする。
5/2 曇り
まだ暗いうちからヘッデンつけて藪漕ぎ開始。涼しいうちに裏ノ山まで進むのだ。
昨日下ったところを振り返る
スラブを眺めながら裏ノ山へ
裏ノ山へは以前、名無沢の支流をつめて来たことがある。2度来る人もそう多くはないだろう。駒形山の北端までの間はそんなに歩きにくくもないが雪もあまり残っていない。北峰(?)直下はシャクナゲが密生した相当ひどい藪が20分近く続いた。
尾根が方向を北に変えると、明らかに尾根が広くなり残雪の比率も今までより増えている。ホッとしながら歩を進めるも、空はやおら黒っぽい怪しげな色の雲に覆われ始めた。この日はできるだけ進んでおくつもりだったが、ラジオで天気予報を聞いてみると今にも降りだしそうな口振りだ。しかも魚止山まではまだ藪が断続的にあり、時間がかかりそうな上途中で降られたらびしょ濡れになるのは確実と思われた。かなり迷いつつも、結局三川分水峰の手前に絶好の場所があったため、「濡れないうちにl行動終了」という結論に達した。
5/3 曇りのち雨
遠目には藪だった三川分水峰〜魚止山間。しかし実際はわりとしっかりした踏み跡が続いていて驚かされる(道が出来たのかと思ったぜ!)。幸いにも雨はたまにポツポツ来るくらいだった。
これなら昨日頑張って進むんだった・・・
魚止山からは赤布やテープがたくさん。ルートを外さないよう気をつけながら倉谷林道へと下りていく。
倉谷林道は道の上に水がゴウゴウと流れるところもあり、 沢だか道だか分からないような荒れっぷりであった。
道路中央が水路となっている
次第に雨がしとしとと降り始める中、車に戻る。「狐の嫁入り」で華やぐ津川の町を通り帰京した。