越後沢中俣

【日 程】2008年10月11日(土)〜13日(月)

【ルート】  越後沢中俣

【メンバー】 チャーリー、ぐれぽん、ささpooh

おいしいところ取りのつもりの計画のはずが大変な苦労をした山行となってしまい、自身の考えの甘さを痛感させられる内容でしたが、素晴らしい紅葉と景色、豪快な滝登りを満喫できる楽しい山行でした。

チャーリーからのお誘いで越後沢の中俣と右俣をいっぺんに登りたいと言う欲張りな計画が実現する。一般的なルートである八木沢ダムの渡船による往復は、ボート代が高くつくことに加えて、入下山を船とするためどちら一方の沢しか登れない。今回の計画は、十字峡から中尾ツルネを登り、中俣右俣中間尾根を下降してベースキャンプを設置し、二日目に空荷で中俣を登って中間尾根を降りてベースに戻り、三日目は全装備を担いで右俣を遡行して中尾ツルネを下山するというもの。体力的にはかなりキツイが実行できれば充実感でいっぱいとなるだろう。

初日の天気はあいにくの雨。二日目以降は晴れるとの天気予報であるので頑張って行きましょうと出発。

1.jpg

中尾ツルネの登山道はスズメバチが心配。昨年ささpoohが刺された場所であるP.1296とP.1220の間の他にも登山口から15分程登ったとこにあるスズメバチ注意の看板の箇所もある。対策として、7mジェット噴射のハチ撃退スプレーを用意。結局初日は雨で気温が低いためにハチの活動が停滞しているのか、姿は見当たらずホッと安心した。

雨の中黙々と登山道を歩くが、出発も8時と遅く、風雨の寒さで歩みが遅れ勝ちであった。ようやく小穂口の頭についた13時を回っていた。周囲はガスに巻かれ、国境稜線も雨交じりの強い風で非常に寒い。小穂口の頭のすぐ先の池塘で水を汲んで、本谷山の先の藪尾根に突入する。ガスで周囲の様子が良く分からず中間尾根の下降点と思しき箇所を見極めようとするが、一向に分からない。既に時刻は15時を過ぎていて順調に降りても3時間は掛かるという中間尾根の下降は諦め、稜線上のクマザサの藪の中の窪地に幕場を求めた。

 

 

夜中にも雨が降り、ツェルトの中は水溜りができるような不快な夜。翌朝も周囲はガスが掛かっていて、早出するつもりが明るくなるまで時間待ちとなる。昨日の予定の幕場であった中間尾根基部(右俣と中俣の二俣)に辿りつけなかったので、本日は中間尾根を下降して中俣大滝を登り、中間尾根に上がってこのツェルトのベースに戻ってくるという行程とする。

藪尾根を進むと、ガスが晴れてきて周囲の様子がようやく分かった。昨日中間尾根と思っていたところを降りると中俣の源頭となり、中間尾根はかなり先であることが発覚。視界の無い中での人の距離感はまったく当てにならないことを認識。

2.jpg

中間尾根は上部は岩っぽくて険しい。下降するに従い藪の背が高くなってくる。それにしても両側の展望が良く、紅葉も見事で素晴らしい眺めだ。

3.jpg

紅葉の木々の奥に右俣の大滝が見える。

4.jpg

右俣大滝をバックにハイポーズ。今回は登れなかったが、豪快な滝の連続でいつか遡行してみたい。因みに大滝の上は、今年は雪がやはり多いのか巨大な雪渓が詰まっていた。

5.jpg

遡行する予定の中俣大滝。あまりに豪快な滝に果たして簡単に登れるのだろうかとか、時間切れになってしまうのではと少々不安だ。

中俣の下流部はミニゴルジュの様相であるのと、小ぶりな滝が多そうなのでオミットして大滝の下あたりに出る枝沢を下降する。

最後は懸垂になりそうだったが、降り立った先の滝が登れそうにないので、そのまま下降せずに滝上に出られるように藪を巻き上がる。なんとか大滝下の50m滝手前に懸垂無しで降りることが出来、時間も9時30分とまずまずのペース。

6.jpg

大滝下の50m滝。10m程左壁の傾斜の緩いところをフリーで登り、途中からロープを出す。滝はヌメっていてあまり良くない。50m一杯で滝上に出る。足回りはアクアステルスではなく、フェルト底の沢靴を皆履いてきたので本当に良かった。

7.jpg

そして中俣大滝。取り付き付近は水流がオーバーハングから滴り落ちている。1段目の直登は無理なので、左岸の傾斜のゆるいところを拾ってフリーで上がっていく。

8.jpg

80m程度上がったところで、水流沿いに戻るべくロープを出してトラバースする。

9.jpg

2ピッチ目は?級程度。水流の右脇を登る。

101.jpg

3ピッチ目。?級。少々ヌメっている。2段目の滝の途中でピッチを切る。

4ピッチ目は、2段目を登って3段目の取り付きまで。

111.jpg

5ピッチ目は、水流の左側から段差を上がる。?級。

6ピッチ目は3段目の上部を上がって登攀終了。?級。

121.jpg

大滝の上の小滝を登ると穏やかな眺め。実際には奥にある雪渓とその先に傾斜の強い滝が掛かっている。このまま源頭まで詰める時間は無いので、右側から合わさる沢から中間尾根へと上がることにする。

沢は最後は急な涸れ滝となり直登できず、右岸の泥壁を強引に登って藪と伝って中間尾根にでる。時刻は既に16時。結局、中間尾根を登っているうちに日が暮れてしまいヘッデンでベースキャンプへと戻ることになる。真っ暗な中での藪漕ぎは非常に消耗させられ、うっすらと藪の薄い踏み跡を見失うことしばしば。頑張って登っていくが、暗闇の藪でベースキャンプが分からずに通り過ぎてしまい、本谷山まで行ってしまう。戻って慎重にベースキャンプを探すとようやく発見できた。時間は20時40分。実に15時間弱の長時間行動であった。

 

 

131.jpg

最終日は非常に良い天気。背後の越後沢山と兎岳への稜線が素晴らしい。

141.jpg

正面も山深い稜線が続く楽しい眺め。のんびりと登山道を歩いていく。

下山途中で小穂口の頭を少し下ったところでアクシデント発生。チャーリーが登山道を踏み外してしまい、膝をひねってしまう。なんとか自力下山できそうとのことで荷分けして歩くが残念だ。

当初の計画通りの行動はできず、下山のアクシデントもあって大変であったが、とりあえず中俣大滝を登攀できたのは良かった。沢登している時間よりもアプローチの方が長い上、実際のところ越後沢中俣をちゃんと登ったのかと問われるとクエスチョンマークが立ってしまうが、山行としては眺めも良くて素晴らしい景色の秋山を満喫できて良かった。今度は尾根越えではなく、渡船で楽に渡って右俣を遡行してみたいとメンバー一同意見が一致した。