越後/モチガハナ沢スラブ沢

【日程】2019年9月28日(土)~29日(日)
【メンバー】K暮(L)、F永、HT野(記)

9月下旬、谷を埋める残雪も少なくなる時期、越後の沢も最適期である。
しかし、この週末は微妙な天気予報、他のパーティーも次々に転進しているようだ。
揺れる心のリーダーは、一度は転進を決めたものの、土曜日は何とか天気は持ってくれるのではないかと、結局予定通り決行することとなった。

そう、今回の計画は1日目で遡行を終えて、肩の小屋で一泊、翌日登山道を下山する計画だった。だから土曜日さえ天気がもってくれれば…。

さて、土曜日の朝、やはり青空は見えないが、それほど空模様は悪くもなさそう。入渓からしばらくは巨岩系のゴーロ歩き。入渓早々分かったことは、(越後なのだから予想通りではあるが)この沢はフェルトソールが全く向かないということ。2人がラバーのフリクションを生かしてあっさり越えていく巨岩も自分は苦戦。

三俣を左に進むと、徐々に両岸立ってきて越後らしい雰囲気となってきた。

小滝をいくつか越えると岩が3つ重なったCSの5m滝が現れる。

CS5m滝

少し探ってみたが、直登は厳しそうで、右の岩のルンゼ伝いを登って巻いた。

K暮さんがリードで登る

そうしてCS滝を越えると、今度は20mはゆうにあろうかという立派な滝。
下から見ていると、右壁はホールドも豊富そうに見えたが、実際はホールドが外傾していて思いのほか大変な登攀で、結局滝の高さも50mロープがギリギリいっぱいの大滝だった。

こちらもK暮さんリード

そして、まだロープを出して登る滝が現れる。
7mほどの高さだが、落ち口の辺りが右から岩が張り出していて難しい。

後続の2人はリードで登ったK暮さんのムーブは真似できなかった。

今回、参考にしたのが10年ほど前のI田さんの記録、どうやらその時は今回ロープを出して登ったこのあたりの滝はまとめて巻いていたようだ。

この後いくつか小滝を越えると、巨岩帯となり伏流しているのか、水が無くなってしまった。
水が無くなり、いまいち趣に欠ける雰囲気となってしまった沢を黙々と登っていたら、どうやらスラブ沢の出合を見逃してしまったようだ。
このまま左俣本流を詰めようかとも悩んだが、I田さん記録の快適に登れるというスラブに魅かれて、引き返してスラブ沢へ入ることとした。

スラブ沢の出合は見逃しても仕方ないと思うほど目立たない。
ここで自分は、フェルトのフリクションの効かなさに耐えかねて、アプローチシューズ(ビブラム)に履き替えた。

さて時間はすでに14:30、I田さん達の記録ではスラブ沢には午前中のうちに入っていたが、はたして我々は今日中に小屋まで行けるのか。
そんな我々の気持ちと同調するように空模様も少し重たくなってきた。

スラブ沢を少し進むと、左脇に何十mとトイ状の滝が流れる開けたスラブ帯のような地形に出た。

I田さんの記録や登山体系を岩記号だらけで谷筋が見づらい地形図と見比べながら第一スラブの入口を探し求めて右へ左へ。

その後も少しずつスラブっぽくなり、おそらく目的の第一スラブの入口に差し掛かったころ、滝のテラスにギリギリ3人寝れそうなスペースがあった。
時間はもうすぐ17時、今日はここでツェルトを張って泊まることとした。

滝のテラスでツェルト泊

10m近い滝の上、整地はしたが少し斜めっている。念のためロープにセルフビレイを取って眠った。
スペースの都合上、F永さんは外で寝たが、心配だった雨も夜中はほとんど降らず、明け方少し降った雨はツェルト(タープなし)で全く問題なかった。

さぁ今日は快適なスラブ登り。しかしこのスラブ、たしかにフリクションは効くが、傾斜が結構あって緊張を強いられる。

「こういうのって快適っていうかなぁ」と、もしやI田さん達とは違うところを登っているのかもと記録を見返すが、遡行図も描写も一致する。
おそらく「快適」の基準が人によって違うのだろう。

なかなか高度感があります

第一スラブを越えた後も、小難しい小滝が続く。
マキグラノツルネのコルを目指して詰めていくと、最後の最後だけ激藪だったが、稜線を越えてオツルミズ側に出るとそこは草原。

ここまでの緊張から解放され、牧歌的な気分で稜線と平行この草原をトラバースしていく。
すっかり油断してスリップしたりしつつも、基本的には快適に歩き、最後はわずかの笹薮漕ぎで山頂に出た。

越後駒ケ岳山頂

山頂にオコジョがいました

山頂についてのんびりしていると、みるみる天気が良くなってきた。
結局、心配だった天気だが、普段の行いのおかげか万事順調であった。

極楽尾根を下る