北アルプス 雲ノ平~伊藤新道

【日程】2022年10月1日~2日
【メンバー】H、S
【コースタイム】
10/1
折立(7:20)~太郎平小屋(10:05/10:20)~薬師沢小屋(11:45/12:00)~雲ノ平山荘(14:15/14:35)~祖父岳分岐(15:30)~祖父岳(16:00)~祖父岳分岐(16:15)~黒部源流(17:10)~三俣山荘(17:55)
10/2
三俣山荘(4:20)~第一庭園 (5:05)~展望台(5:35)~赤沢渡渉点(6:40/6:55)~赤沢出合(7:10)~第5吊り橋跡(7:35)~第4吊り橋跡(8:15)~第3吊り橋跡(8:55)~ガンダム岩(9:50)~第1吊り橋(10:00)~噴湯丘(ふんゆきゅう)(10:40)~晴嵐荘(11:10/12:20)~名無避難小屋(13:20)~高瀬ダム(14:15)

伊藤新道と言えば、硫黄成分で植生の無く異星に降り立ったような景色の湯俣川上部と、大迫力の岩壁に囲まれた渓谷の湯俣川下部があり、どちらも魅力的で類い希なる景観をもつ美しい場所である。湯俣川の岩壁に作られた伊藤新道が廃道となってずいぶんと時間がたったが、三俣山荘の主人、伊藤圭さんの尽力により、クラウドファンディングにて伊藤新道復活プロジェクトが進行している。このプロジェクトの進行を確認しつつ、伊藤新道の絶景を堪能すべく、最高の秋晴れの中で踏破することができた。

10月1日 晴れ
折立を出発し、草紅葉の中を進む。今年も異常気象で気温が高かったため、葉焼けがひどく、紅葉はイマイチ。いいペースで進み、日暮れ時に三俣山荘のテン場に到着。激混みのテン場になんとか設営。

雲ノ平

祖父岳分岐付近 奥には水晶岳

10月2日 快晴
三俣から伊藤新道を赤沢渡渉点まで下る。復活プロジェクトが進行中なこともあり、数年前に比べてずいぶん枝打ちされて歩きやすくなっている。いつかは伊藤新道を復活させたいと、伊藤圭さんが毎年最低限の整備を行っていてくれたおかげで、廃道ではあるが、かなりいい状態で保たれている。

展望台からの景色

赤沢渡渉点から入溪。硫黄成分で植生の無い渓谷を下る。温泉成分が濃く、水が白い。このあたりの景観は異星のようだ。

赤沢出合

第5吊橋跡~第4吊橋間跡間

第4吊橋跡付近からは植生があり、黒部らしい渓谷の景色になる。
第3吊橋跡は、増水時の最大の難所。岩に「引き返す勇気を 雨天時」の赤い文字が残る。第3吊橋跡では、第2吊橋の架橋工事の真っ最中だった。今年8月の大増水で昨年架橋された第1吊橋が被害を受けたため、第2吊橋は急遽設計を変更し、できるだけ高い位置に架橋するようだ。
なお、翌日10/3のマウンテンワークスのfacebookのページでは、第2吊橋の竣工の写真がUPされていた。

第3吊り橋跡(左岸側で橋架橋工事中)

第3吊り橋跡(右岸側で架橋工事中)

第3吊り橋跡 写真右下に「引き返す勇気を 雨天時」の文字が残る

第3吊り橋跡 下流側から上流側を望む

第2吊橋から下流は両側の岩壁の斜度がきつくなり、険しい峡谷となる。途中、増水時用に水平桟道の設置工事が進んでいた。水平桟道は30m程度の短い区間ではあるが、増水での被害を避けるため、高い位置に設置されるので、よっぽどの増水でなければ使いたくないと思った。

第2吊橋間跡付近

第2吊橋間跡~ガンダム岩間

水平桟道の設置工事が進む
(写真の上あたりにボルト、FIXロープが水平に設置されている)

水平桟道の設置工事が進む

ガンダム岩は、これまで高巻きで死亡事故もあった危険ポイント。現在はFIXロープが設置されているため、水量が多くなければ岩の下を安全に潜って通過することができる。増水時用にタラップの設置に向け岩に穴が開けられていた。ガンダム岩は年々崩落が進行しているようだ。

ガンダム岩 上流側から下流側を望む

写真右側がガンダム岩 タラップを設置するためにたくさんの穴が開けられ、切削粉で岩が白くなっている

第1吊橋は、昨年に架橋されたが、今年8月の大増水で被害を受けた。そのため、橋が50cm程度かさ上げされていた。

第1吊橋のすぐ手前

第1吊橋

第1吊橋

第1吊橋間跡~噴湯丘(ふんゆきゅう)間

噴湯丘

温泉が湧いて湯俣川が黒くなっている

晴嵐荘に昼前に到着したので、晴嵐荘の温泉に入浴。噴湯丘からお湯を引っ張っている。噴湯丘付近ではショベルがないと天然温泉が掘れず温度調整も難しいため、晴嵐荘で入浴するのが正解だと思う。昼食は晴嵐荘で麻辣飯を注文した。挽き立てのスパイスが効いて、痺れる辛さが疲れた体に染みた。
晴嵐荘からは心を無にして2時間歩いて高瀬ダムに到着。

最高の景色の中、雲ノ平~伊藤新道と絶景が続くルートを堪能することができた。また、伊藤新道復活プロジェクトで伊藤新道が変わっていく段階を目に焼き付けることができた。伊藤新道復活プロジェクトの完了が楽しみである。