中国 桂林・陽朔(Yangshuo) フリークライミング

■場所:中国 陽朔
■日程:2009/12/26〜1/2
■メンバー:メンバー:斎藤(健)、他

夜の陽朔
  夜の陽朔

朝の陽朔
                 朝の陽朔

中国最大のクライミングエリア、陽朔に行ってきました。

無限に林立する岩峰群。山水画の世界に世界中のクライマーが集結です。

私は、6日間で35ルート、37トライでした。

○12/26:移動日
成田−(飛行機)→広州−(飛行機)→桂林−(タクシー)→陽朔

広州から桂林への飛行機を一便遅らせ、広州の町を見学。活気と、人々の購買意欲にびっくり。

○12/27:Banyan Tree Crag

朝から雨。午前中は、クライミングショップで最新のトポを買ったり、市場の見学をしたりしてゆっくり。
午後になると、雨があがり、大きな菩提樹が有名なBanyan Tree Cragで登り初め。
右足を痛めている私は、恐々、簡単な課題から挑戦。軽く4本登った。

・Lounging Lizards(5.8, 24m, 8Bolts+Anchor):mOS
5.8でも、長さがあって楽しい。上からの眺めも最高。一定間隔に横に溝が走っていてレストできる。

Banyan Tree Crag
最初の一本

・Happy Hour(5.10b, 16m, 9Bolts+Anchor):mOS
アップ。

・Beautiful Day(5.10a/b, 25m, 9Bolts+Anchor):OS
アップ。

・New Day(5.11a, 25m, 10Bolts+Anchor):×
とりあえず触ってみた。カチ系ルート。
ボルト4本目あたりでカチの持久力が試される。
体が石灰岩に慣れていないため、思わずテンション。

※岩場メモ:バスで大榕樹公園下車。2.5元/人。
菩提樹の公園から入ると、18元/人かかる。裏手から直接岩場に行けば無料。
午後は、陽が当たり夕暮れまで暖かい。
地元の子供がヌンチャク、貴重品を強奪しに来るので、クライミング中は荷物に注意。
バスは手をあげればどこでもとまってくれる。

○12/28:Wine Bottle Cliff

石灰岩の岩場に慣れていない感じがしたので、今日は、やさしめの岩場を選択。
空はすっきり晴れあがり、年末だというのに、上半身裸で登ってました。

Wine Bottle Cliff
賑わう岩場

・Hidden Gem(5.6, 14m, 6Bolts+Anchor):OS
アップ。快適。

・Irresistible(5.8, 15m, 6Bolts+Anchor):OS
アップ。快適。

・Kou Men(5.9, 24m, 6Bolts+Anchor):OS
アップ。高さがあって気持ちよい。

・Vino Line(5.9, 21m, 6Bolts+Anchor):OS
アップ。快適。

・Shu Ba Jie(5.10a, 19m, 8Bolts+Anchor):OS
アップ。快適。

・no name(5.10b, 26m, 8Bolts+Anchor):mOS
アップ。

・The Helsinki Handsaw Massacre(5.10c, 26m, 10Bolts+Anchor):mOS
そろそろギアチェンジしてOS。

・Where’s the Jug(5.11a, 26m, 8Bolts+Anchor):mOS
中国での初イレブン。高さもあり、お奨め。

・Infernal Affairs(5.10d, 26m, 8Bolts+Anchor):mOS
コルネでうまくステミング、キョンができれば快適。

※岩場メモ:バスで虫胡蝶泉下車。2.5元/人。
畑を50mほど横切って岩場に到達するためか、バリケードあり。
岩には、封山や攀岩禁止の文字。そのうち、登れなくなるかも。
地元のクライミングショップが講習で使っている、ビギナー向けの岩場。
この日は、20人ぐらいのクライマーで賑わっていた。

バス待ち
バス待ち

○12/29:Twin Gate Mountain

垂壁とオーバーハングの両方を楽しめる岩場。
普段、ジムで登っているクライマーには、オーバーハングした課題のほうが簡単に感じるはず。
洞窟の中にある5.13aは、一手もののボルダー。甘い左手のピンチを基点にランジしてガバへ。

Twin Gate Mountain
テーブル、イス完備

アプローチ
アプローチ

・Xin Jiang Black(5.10b, 26m, 8Bolts+Anchor):mOS
アップ。

・七月学校(5.11a, 18m, 7Bolts+Anchor):mOS
ボルト4本目あたりで体の入れ替えあたり、ボルダーっぽい。垂壁。

・Small Plane(5.11b, 18m, 87Bolts+Anchor):×
ボルト4本目あたりで、カチを持って伸び上がる動きが要求される。リーチがあるほうが有利。垂壁。

・Big Plane(5.11b, 18m, 8Bolts+Anchor):OS
ガバのハング越え。ヒールフックでルーフを抜けて、上部はレイバックで直上。ジムっぽい。ハング。

・Blood(5.10c, 19m, 8Bolts+Anchor):OS
クールダウン。一手、効きの甘いホールドがありそこが核心。

※岩場メモ:大溶樹公園の奥にある小学校までクライミングショップのミニバス。25元/台。
小学校から、岩場まであぜ道を10分。
洞窟が二つあり、イス、テーブル完備。
帰りは、時間を決めておき、小学校まで迎えに来てもらうとよい。

○12/30:Moon Hill

ここの、Over the Moon(5.12c)を目標にしていたが、中国に来る直前の足の怪我で、今回は断念。
アーチまでたどり着けるかが自分にとっては核心になってしまった(TT)

Moon Hillでボルダー
憂さ晴らしにボルダーをする私

・Emission Control(5.9, 23m, 6Bolts+Anchor):OS
アップ。快適。コルネの左にあるボルトを見落とさないように注意。

Moon Hillアップ
アップを登ってピース

・New Moon(5.10b, 25m, 7Bolts+Anchor):OS
アップ。持久系。

・Artemis(5.11a, 27m, 8Bolts+Anchor):OS
長いガバルート。レストポイントではしっかり休もう。OSしやすいルート。

・Moonstruck(5.11a, 23m, 7Bolts+Anchor):××
5本目のクリップ後、右手のサイド・アンダーカチから体を起こしてテラスのガバカチを取る辺りが核心。
上部は非常に脆いので注意。一本目のボルトにクリップする前のガバが欠け、メンバーの一人が負傷。
2本目のボルト位置も高くて、少し怖い。
次回の宿題。

※岩場メモ:バスで月亮山公園下車。2.5元/人。
岩は、泥で壁についているだけ。落石多発。ヘルメット必携。一緒に行ったメンバーが、Emission Control(2nd pitch 5.12c/d)を登っている間、頭ぐらいの岩が、上空40m〜50mからボコボコ落ちてきた。岩は10m四方に飛び散る。他のルートも似たようなもの。
岩場までは、石の階段を20分〜30分。
公園の入り口を通り過ぎ、塀沿いにしばらく行くと、塀が崩れていて、クライマーはそこから入園。踏み跡を追って行くと、石の階段までたどり着く。普通に公園の入り口から入ると、15元/人。

○12/31:The Egg

早いもので、残すところあと2日。そろそろエンジンかかってきました。
アップで5.10aかと思ってとりついたら、実は5.10d。それほど難しく感じなかったので、次に5.11dにトライしてみたら、5.11dもmOS(^^)V
ハング越えのガバルートが多く、ジムクライマー向きの岩場です。

The Egg
岩場の周りは畑

洗濯
川では洗濯したり芋や野菜を洗ったり

・Poser’s Lonely Reunion(5.10d, 27m, 9Bolts+Anchor):mOS
アップ。ハングは、右からうまく回り込めばどうということはない。

・Check If Ya Want To(5.11d, 25m, 8Bolts+Anchor):mOS
ケーブの左側を登る5.11d。
ケーブを抜ける部分でパワームーブ炸裂。その後も持久力が試されます。
うれしいmOS。ヌンチャクがかかっているのといないのとでムーブが変わるかも。
私がオンサイトしたのを聞きつけ、皆もトライしてみるものの、結構ムズイようだ。

・no name(5.11a, 25m, 8Bolts+Anchor):mOS
チョークの跡をたどって、左側から回り込めばレストできてうまくいく。
レストポイントがあるので登りやすい5.11a。

・The New Decade(5.12a, 22m, 10Bolts+Anchor):×
調子に乗って、5.12aに挑戦するも、中間部の細かいカチが持てずに敗退。

・The Final Decade(5.10d, 22m, 9Bolts+Anchor):mOS
5.12aのヌンチャクを回収するために登る。こっちのルートは快適。

・Hustlers Roof(5.11b, 22m, 9Bolts+Anchor):mOS
ハング越えのみのルート。その前後は簡単。ハングの前に洞窟で大レストできる。
マスターで行くと、ハング途中でのヌンチャクがけやクリップに力を使う。

・Duck(5.11b, 24m, 11Bolts+Anchor):mOS
カチのロングルート。これでもかというほどカチが続く。カチ持久力が試される。

※岩場メモ:クライミングショップのミニバスで35元/台。
畑の中にある岩場。牛がいたり、川で洗濯や野菜を洗ったりしていてほのぼのした空気が漂う。

○1/1:Lei Pi Shan

陽朔の町には、外国人観光客が多く、年が変わった瞬間に花火が上がったりと、結構賑わっていた。
雨が降っていたが、どっかぶりのため全く問題なかった。むしろ乾燥しすぎているぐらい。
いよいよ今日は最終日。今まで、足の再負傷を警戒し、オンサイトできそうなルートばかり登っていたが、今日は攻めのクライミングを目指す。

・no name(5.10a, 10m, 6Bolts+Anchor):mOS
出だしで左から右に移るあたりが核心。

・Jeja(5.11a, 14m, 6Bolts+Anchor):mOS
カンテの左右のホールドをうまく見極めて登る。ガバルート。

・no name(5.11c, 19m, 7Bolts+Anchor):mOS
メインの壁の左上するクラック沿いに登って行くルート。
持久力を要求されたが、うれしいmOS。

・Singularity(5.12a, 22m, 9Bolts+Anchor):×
Lei Pi Shanのメインの壁を直上する綺麗なルート。
コルネの下の数手、ピンチ力が試される。
核心部分のクリップは、左手で小さいコルネをラップで保持してから。
次回、再トライしたいと思ったルート。

・Pickpocket(5.11d, 19m, 10Bolts+Anchor):OS
出だしと上部で2箇所のハング越えがある。
ハングの前のガバでレストできるのでOS向き。

・Muscle Damage(5.11d, 13m, 6Bolts+Anchor):RP[×○] 木村伸介さんが作ったルート。ボルダー3Q。
中指、人差し指の二本の先端だけで体を保持して、ハングの左から右に足を送るあたりが核心。
中国で最初で最後のRPだった。

※岩場メモ:クライミングショップのミニバスで35元/台。
高田からさらに車で3分ぐらいの幹線道路沿いにあり、トラックが通ったりするとコールが届きにくい。
5.12以上からの上級者エリア。5.11台以下は数が少ないので、すぐに登りつくしてしまう。5.14dを筆頭に、5.14台が3本、5.13台が4本、5.12台が9本と面白そうな課題がそろっている。二子の弓状岩壁を縦に二枚つなげたぐらいの壁があり、雨でも問題なく登れる。

○1/2:移動日

陽朔−(タクシー)→桂林−(飛行機)→広州−(飛行機)→成田

※※陽朔でのクライミングメモ

−中国最多のルート数を誇るエリア、白山(White Mountain)は、現在、登攀禁止。事故や糞尿の問題があったため。地元住民の番人がいて、登攀は不可能。クリス・シャルマが2009/4に初登した桂林米粉(5.15a)など、良い課題が目白押しなのに、もったいない。

−ワインボトルも実は登攀禁止かも??今回は、登ってしまったが、黒に近いグレーな感じがする...。

−ムーンヒル、ツインゲートは、クライミングする人は、お金を払えとの看板があった。罰金なのか、利用料なのかは不明。

−ルートの終了点はリング。カラビナはなし。架け替えで降りてくる。リングがついてない場合もあり、捨てビナを持って行くとよいかも。

−タクシーよりもクライミングショップのミニバスのほうが、安いし岩場の場所に精通しているのでよい。帰りも、予約しておけば、時間通りに迎えに来てくれる。

−クライミングショップでトポを売っている。中国全土のクライミングルートが掲載されている黒本は150元。陽朔のルートのみのトポは100元。黒本は、2009/9のルートも載っていて、つい最近出版されたばかり。

−物価は概ね安く、1元は、100円ぐらいの価値がある。

−Moon Hillは、風が吹くと寒いので、年末年始であれば暖かい日に行くと良い。GWあたりだと、暑い日でも、風が吹きぬけて気持ちよいそうだ。

−クライミングをしない人でも、川下りをしたり、パンダのいる動物園に行ったりと、楽しむスポットは沢山ある。

−岩場によって、上級者向け(5.13〜5.14)、中級者向け(5.12〜5.13)、初級者向け(5.8〜5.11)と、偏りがあるため、同じぐらいの実力の人と行くと行きたい岩場に行ける可能性が高くなる。実力に開きがある場合は、レスト日をうまくローテーションさせて調整する必要がある。

−5.8、5.9、5.10aとトポに書いてあっても、出だしがハングしていたりして5.10台前半が限界グレードの人には、登れないルートが多数あると思う。

−60mロープは必須。50m級のルートもたくさんあるので、70mロープか80mロープをパーティーで1本用意しておくとよい。

−50m級、60m級のルートは中間に支点があり2段懸垂で下降する。

−次回、再訪することがあれば、今回行けなかったWhite Mountain, Thumb Peak, Low Mountain, Space Buttress, Brave New World, The Chekin Cave, Treasure Cave、宿題のあるMoon Hill, Lei Pi Shan, Banyan Tree Cragあたりに行きたい。

※※中国クライミング事情

−リッチな中国人の一部はクライミングをやる。

−陽朔は、中国随一のクライミングエリアだが、北京、青島、広東、福建、四川など、全土にクライミングエリアが開拓されつつある。

−私有地を勝手に開拓しているためか、地元とのトラブルあり。

−クライミングショップに人工壁があった。

人工壁
陽朔の人工壁

※※陽朔での生活

行動食
行動食

・蒸しパン1元、豆乳1元。
・スーパーのお菓子、パン屋のパン、朝食の小籠包や卵を行動食にしている人もいた。

google会話
googleで会話

英語のできる中国人は少ないが、パソコンさえあれば、googleの翻訳ソフトで会話が可能。

朝食
朝食

桂林米粉3元。

夕食
夕食

毎晩、10人で大宴会。飲んで食って40元ぐらい。