【日程】2009年12月29日〜2010年1月1日
【ルート】南アルプス 三峰川岳沢アイスクライミング
【メンバー】ぐれぽん、チャーリー
この冬は気合を入れてアルパインアイスのクラシックルートの岳沢に行ってきました。事前に調べた記録などから、懸念としては、天候 、ラッセル、スピード と考えていた。一つ一つの氷瀑の難易度としては、問題になるようなことは無いと思っていたので、まずは軽量化と登攀の作戦を立てた。軽量化は、シュラフは小さいもので、テントもゴアの2人用、食料も貧弱にすることで燃料も少なくした。
車は、戸台河原に置いてタクシーで丸山谷に向かう。塩沢出合のゲートから歩きとなる。
前日に雪は降ったものの降雪量は少なく、それ以前の雪もしばらく降っていなかったためか林道そのものには雪はほとんどなく、順調に進む。丸山谷の南沢は地形図よりも林道が伸びていて、c.1350の辺りまで林道が使える。林道が無くなってからは、赤布に従って進み、1409からは、沢の中ではなく右岸の急斜面を赤布を探しながら高台まで上り、トラバース道を辿ると営林署小屋跡に出た。
営林署小屋は、思ったよりも立派だが、中は鹿の糞だらけ。
沢に沿って進むと、c.1800のあたりで氷瀑となる。
チャーリーさんは、右岸の赤布に従って巻くが、ぐれぽん は簡単な氷なのでフリーで越える。
その上にある滝。こちらもフリーでOK。
滝上に出ると、結構悪かったという巻き道からチャーリーさんと合流。
源頭の詰めは左岸側の赤布に沿って上り、岳沢越を抜ける。三峰川本流は平坦で歩きやすく、容易に岳沢出合に着く。
岳沢下部の様子。
釜を持った小滝を、こわごわとヘツリでこなし、F1に取り付く。簡単な氷瀑だが、下に大きな釜があって濡れたくないのと、落ち口の氷結が悪く少々いやらしい。初日は、F1の上に天幕を張る。
2日は登攀の一日。
小滝を簡単に越えると、左から沢を合わせてF2 10mとなる。
登っているときは、小滝をF2とカウントしていたため、これがF3かと思った。フリーで抜ける。
立派な50mのF3。登っているときはF4だと思っていて、Webで事前に見た記録だとF4は厳しいとあったので、まさしくこれがF4と思った。後で読んだトポによれば、右から下部は巻いて上部のみ斜上して抜けるとある。
我々は、F4だと思っていたので、中央部分念のためトップは空荷で登って荷揚げする予定で取り付く。25m登ったところで傾斜が緩むので、ここから荷揚げしようとするが重くて力尽きて挙げられずに断念。
チャーリーさんに登ってもらい、二人で1/6システム+ガルダーヒッチで何とか荷を挙げるがかなり時間使ってしまいました。荷揚げの練習不足。沢での荷揚げより、下が氷だからかえって滑ってしまい大変でした。
続く F4 30m。思ったより容易でロープを出して登る。さっきは荷揚げで苦労したので、荷物を背負ってリード。
F5の小滝は間違えて右の沢から巻いてしまい、ラッセルで越える。F6はぐれぽんがフリーで抜けて、念のため後続のチャーリーさんを確保。F7は左から巻いた。
この辺りは、ラッセルが深い。
クライマックスのF8ソーメン流しの滝110m。ルンゼの間を右、左、右と曲がるように立っているので、下から全貌を一目で確認できないのが残念。1ピッチ目は、傾斜が緩いのでフリーで登り、ザイルをたぐるついでに後続を確保。
2ピッチ目は、チャーリーさんリード。この時点で後続4人パーティがやってきた。やや立った3ピッチ目は、ぐれぽんリードで滝上にでる。確かに立っているが、段々になっていて足場は安定しているので、事前に思っていたよりは難しくない。
滝上に出る頃には、寒冷前線が通過したのか風が強まり、雪が飛ばされてきている。いい時間なので、ここで滝上に岩陰にテントを張る。
3日目
朝から地吹雪の様相。寒気が入って冬型が強いようなので稜線は大変と予測しつつ出発。
F9はフリーで越え、その先はひたすらラッセル。急な雪壁を抜け、左、左とルートを取り、時折出てくる氷はフリーで越えた。樹林帯を抜けると、大仙丈ケ岳から西に延びる支尾根に出た。風が非常に強く、風を避けるところが無い。少し登ると小ピークとなり大仙丈ケ岳と勘違いしてしまった。
目も開けられないくらいの地吹雪の中、ゴーグルも1時間もしないうちに使い物にならなくなり、時折雪面も判別できないくらいのガス、意外に切れた両岸と半雪稜状態でした。真剣に耐風姿勢をとってないと持っていかれるくらいの風の合間を縫って、更に1時間かけて仙丈ケ岳へ着いた。山頂は風をよける場所もないので、休憩せずにそのまま下山する。
後続パーティもやってきて前後して下山するが、トレースが無く、わかりずらい尾根で、右往左往したり、間違えて登り返したりもしてしまう。 はっきりとした休憩せずに4時間近く行動していたためかチャーリーさんが、バテてしまい歩きが極端に遅い。別パーティーのうち二人も大分ばてている様子でこちらも特に遅いのだが、同じようなペース。15:00過ぎまでかかって小仙丈ケ岳につき、下降路を探すがよくわからずうろうろしているうちに16時近くなってしまった。
当初の計画では、3日目にそのまま下山予定であった。1、2日目は予定通りで大仙丈ケ岳辺りまでは、予定していた時間どおりの行動であった。本当は下山できないまでも北沢峠か風の弱い樹林帯まで行きたかったがやむを得ず予備日を使う。チャーリーさんの調子も悪いので、やむを得ず、雪の吹き溜まりとなっているところを掘り下げて風を避けるようにしてテントを張った。
テントの中で体と荷物の雪払いで1時間くらいかかってしまう。 ガスも軽量化してぎりぎりしかなかったので、水を作ってジフィーズを食べておしまいとし、濡れた手袋や服をガスで乾かすことが出来なかった。その夜は更に風も強くなり、風の息が無く5分位強く吹き続けることもあり非常に寒い夜で、あまり眠れなかった。
4日目
一晩中震えて迎えた今朝も強風は納まっておらず、なかなか起き上がることができない。明るくなった7時に起きてのろのろ用意して10時頃に出発。天気は相変わらず風は強いが、視界は大分回復しており、ガスはでているがなんとかなりそう。
下降路を探しての中降りる尾根を探してしばらくうろうろしていたが、めぼしをつけた尾根から登山者が上がってくるのが見えて一安心。あとはトレースをたどって北沢峠経由戸台まで長い長い下山でした。
戸台河原の堰堤は今までにないくらいがっちり凍っていました。ここで練習出来そう。本当にこの年末年始は寒かったのでしょうね。