八ヶ岳/赤岳ショルダーリッジ右ルート

【日程】2010年12月4日〜5日

【ルート】八ヶ岳/赤岳ショルダーリッジ右ルート

【メンバー】K、S

八ヶ岳西面のバリエーションルートといえば、メジャーな赤岳主稜のすぐ脇にあってマイナーなショルダーリッジを登ってきました。毎年、八ヶ岳の冬季バリエーションルートに行っているので、次第に重箱の隅をつつくようになってきましたが、このルートは赤岳主稜や中山尾根よりも面白いかもしれません。

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【ショルダーリッジ右ルート概要(赤線)。 主稜は、赤線の右側の稜線。】

今回の心配毎は何といっても取り付きが分かるか。ショルダーリッジは、マイナーで登るクライマーも少ないのでピンも少なくルートファインディングも難しいらしい。Webで事前に調べた感じだと簡単に取り付きを見つけているようだが、果たして。。。

初日は、行者小屋までのアプローチと、取り付きの偵察、雪山始めなのでロープワークの確認という予定だ。行者小屋にベースキャンプを設置した後、取り付きの確認に向かう。

文三郎道を登っていくと、赤岳主稜の取り付きへ降りていくパーティがある。時間も12時回っていて順番待ちで、かなり遅くなりそうな感じだ。順番待ちのパーティを尻目に、赤岳主稜の1本左のショルダーリッジ右ルートは見えるが、主稜の取り付き付近からトラバースできるのだろうか?様子を探るが、どうも無理そうだ。主稜取り付きから赤岳沢にロープをつけて下降してみるが、途中から急になっていて、とても行く気がしないので、諦めて戻る。文三郎道を少し降りて、沢への下降点を探すが、結構急なのと雪面が比較的硬いのであまり行く気がしない。

かなり下まで戻って、樹林帯を分けて赤岳沢に下りる。結構、低いあたりまで戻ってしまった。沢は足首程のラッセルなので、明日のために取り付きが見えるあたりまでトレースを付けに行く。

取り付き探しで行ったり来たりして時間がかかり、結局初日はロープワークの練習もたいして出来ず、ベースキャンプで今シーズンの雪山始めの宴会に突入となった。

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【赤岳沢下部】

2日目。本日は、朝6時40分にBCを出発。文三郎道途中から昨日つけた赤岳沢へのトレースを辿っていく。狭隘部分では、風に飛ばされた雪でトレースが消えているところもあった。正面を見ると、ショルダーリッジ左ルートに向かっていく2人パーティが見えた。どうやら、文三郎道の赤岳主稜取付に降りるポイントより下の急な樹林帯を下降して赤岳沢に降り、斜面をトラバースして取付いたようだ。下から見たので、下降点がはっきりしないがかなり急で、斜面も硬いので最初は懸垂下降でもしたのだろうか。

1P目。

ショルダーリッジ右ルートへは、赤岳沢から正面に続く急な硬雪斜面を登り、最初の岩の段があるので、沢状の硬い雪をダブルアックスでバイルを打ちながら登る。私はフリーで登ってしまったが、ザイルを出すべきだろうと思い直し、上からザイルを投げる。

一段登ったところが、トポで示すショルダーリッジの取付きだろう。下部岩壁が正面から左右に広がり、ルートが良く分からず悩む。正面にはツララの下がっており、その左のルンゼ状がルートなのか確認する。硬雪を一段上がって偵察するが、ホールドが細かく難しそうな上にピンも見当たらない。戻って、ツララの右側がルートかもしれないと、右側のエッジ状の岩を一段上がり、ルンゼを確認するとピンを発見。ここがルートのようだ。左のルンゼよりは易しそうでホッとする。

2P目

エッジを上がった先、最初の10mのピッチが核心部だろう。?級だが、最初の一歩がかぶり気味。残置スリングをA0して凹角を登る。一段、岩を登ると硬い雪面でホールドが無いので、バイルを打ち込む。とっさにバイルに持ち替えるのが少し嫌らしい。ピンが少ないので、持ってきたカムが有効だった。

3P目

ランニングコンテで樹林の中の雪稜を80m程度進む。

4P目

雪のバンドを少し右上に回り込んで、細かいフェースの?級程度の岩の登り、凹角に入り、雪のバンドを右に回りこんで岩の段の上に出る。雪から出ている枝でビレイ。

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5P目

雪稜から凹角の岩場を登り、雪稜。そんなに難しくない。

6P目

雪稜20m。簡単。

7P目

?級のリッジを上がると、両側が切れたナイフリッジ。更に?級のリッジを登ってビレイ。40m。

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【ショルダーの頭直下。ランニングコンテ。】

8P目

ショルダーの頭の直下だ。簡単な雪のついた岩場となっているので、岩壁を巻くようにしながらランニングコンテで登っていく。約100m。最後は、左ルートの詰めとも合流してショルダーの頭に出た。

なかなか良いルートでした。後は、地蔵尾根を辿ってベースキャンプへ。陽射しが暖かい二日間。すっかり楽しく満喫させていただきました。

このルートは、前後に他のパーティも無くあせったり順番待ちも無い。マイナーな分、ルートファインディングの楽しみもあり、とても楽しいルートだと思います。ただアプローチが分かりづらく、文三郎尾根の割りと上の方から取付くには下降がわかりづらく嫌らしい。赤岳沢を詰めていくにはラッセルの苦労が大きい。、赤岳ピークに飛び出す主稜が隣にあっては人気が無いのも仕方無いだろう。しかしながら、もしアプローチがもっと簡単だったら、赤岳主稜に負けない人気ルートになっていたと思います。

ちょっとマイナーですが、その点も含めてお勧めなルートです。次回は、ショルダーリッジ左ルートも登ってみたいと思います。