上高地 中千丈沢 アイスクライミング

【日程】2010年3月3日〜4日

【ルート】上高地 霞沢岳中仙丈沢左岸 アイスクラミングエリア

【メンバー】K、S

上高地にアイスクラミングが出来るエリアがあるとROCK&SNOWで紹介されたので、早速行ってきました。日程は、平日の2日間だったこともあり、ハイカーも少ない静かな上高地でした。

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丁度、休業中だった坂巻温泉に車を置いて、車道を歩く。釜トンネルを抜けて大正池までくると、道路一面が氷となっているので、転ばないようにそろそろ進む。大正池ホテルの横の冬季トイレの近くにベースを張る。

中千丈沢へは、橋の脇から入るが数日前のクライマーのトレースが残っているのでわかりやすい。雪は締まっておりワカンも必要ない。「サイドワインダー」へのアプローチのルンゼは、滝がジャージャーと流れており、水流の左側が雪のルンゼとなっている。資料を読んだ感じでは、近くて良いと考えていたが、実際に見ると思ったよりも急で面倒な感じだ。こちらには行かず本流を詰める。

大岩のゴルジュは滝が出ており、トレースに従い左のルンゼを上がる。急なのでバイルを使って登り、最後は凍結した土の出ている尾根へ乗り越す。本流へ戻るには、降りるには急な斜面なので念のため懸垂した。更に水流の出ている小滝を越えると、「ハバネロ」の沢の入口で奥に青い氷柱が見える。凍っていて良かった。

本流の先もどうなっているか気になるので沢を詰める。

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「Z」は、1段目のツララが繋がっていない。水も滴っていそうなので駄目だろう。Zの左右の「ミルキーウェイ」、「コメット」、「ミウラー」は70度位の傾斜の草付きに着くナメ氷のようだが、氷結が悪く薄い氷が張っているのみ。

 

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本流のデブリの山を越えていき、「一角獣」と「ジョーズ」の枝沢 を目指す。「一角獣」は下段の滝は中央に水流が出ていて左から水を避ければ登れなくは無さそうだが、上段の氷柱は落ち口に氷が無くジャージャーと水が出ていて登れない。

「ジョーズ」は良さそうなので、7m位の下段の易しい滝「ジョーズアップ」を登って、取り付きまで近づく。ここはフリーで登って、念のため後続にロープを引く。

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「ジョーズ右」は正面から登って、中段の氷からトップロープを作り何度か登る。左側から登るとバーチカルで難しい。正面よりも足が極まりにくい難しい氷だ。

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トップロープの位置から左側へトラバースして「ジョーズ左」の右側も登ってみる。「ジョーズ」は右に1本、左に2本はトップロープを掛けられる幅広の氷で楽しめるが、多くのパーティーがきた時にアプローチとなる下段の滝に落氷が落ちるので何パーティも来て取り付くというよりも、大人数の1パーティでワイワイ楽しむというのが良いかもしれない。

下降については、懸垂となるが、開拓されたばかりのエリアのため、残置スリング等も見当たらずちょっと面倒で時間がかかる。

ベースキャンプへ本流を戻る際も、大岩の滝は2箇所水流が出ていて本流通しは大変そうなので、登ってきたルンゼを戻る。急な部分で懸垂したので時間がかかり、テントに戻る頃にはすっかり真っ暗になってしまった。

 

翌日は、「サイドワインダー」にするか、「ハバネロ」にするか迷うが、アプローチの面倒そうな「サイドワインダー」の取り付きまで行って氷結していなかったらショックなので、確実そうな「ハバネロ」に決定。昨日同様にアプローチし、大岩の巻きでは本流に戻る懸垂箇所は、前日のトレースをバッチリ作っておいたので懸垂せずに降りられた。

「ハバネロ」はルンゼ入口から取り付きまでは、急雪壁となっており登るにつれて傾斜が強くなるので、雪山初級者にはロープが必要かもしれない。氷を登る際の取り付きも急斜面で安定していないので、時間をかけて大きなバケツを堀り、左側の岩に張りついている氷でセルフビレイを取る。

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中央は水流で大穴が開いているので、左側から取り付くのだが、左のツララ状からジャージャー水が滴っていて1つ目のスクリューを打つ時点で手袋はびしょ濡れ。左を避けて中央から登れば水が来ないと思っていのだが、中央部分も上から雨のようなシャワーが落ちていたので、雨が降り始めたのかと思ったくらいだ。落ち口に流れる水流の飛沫が上からはねてきているようだ。氷の難度は?級位で凹角を登った。

トップロープを掛ける時間はあったが、あまりにびしょ濡れで2回も登りたくない。リード、フォロー形式で1回だけ登ることにして、終了点の潅木まで登ることにする。ところが、落ち口の最後の3mに氷が無く、水が流れていて沢登り状態。潅木まで登ったら、本当にびしょ濡れ。セカンドは終了点まで上がらずに最後の氷でセルフを取ってもらい、そこから懸垂。この潅木も残置スリングが無いので、1本捨て縄をつけて下降した。

あとは登ってきたアプローチを戻って下山した。

降り続いていた雪は釜トンネルの先では雨となっていて、今後の暖気で更に氷の状態は悪くなっていくのだろうか。今年は氷結がイマイチだったようなので、また訪れたいエリアだ。しかしROCK&SNOWで紹介されているコースタイムはガイドが登っているためか非常に早いと感じた。我々の歩き方では、1.5倍〜2倍位かかってしまった。また、ルンゼの巻きなども結構悪いので、とてもルート的なアイスエリアであった。