【日程】2008年4月26日(土)〜同年4月29日(火)
【ルート】立山室堂から毛勝山
【メンバー】中村 田辺(利) 藤本 矢野
天候が不安定であったことを除き、ルート状況、周辺環境それぞれ申し分のない素晴らしい山行であった。
4/26
AM8:40、混雑した室堂を離れ、剱御前小舎へ。稜線では風が強い。2500m辺りから高高度のせいか急に息苦しくなるというメンバーもいるが、それならばさっさと高度を下げましょうということで、剱御前小舎で休みたいところを我慢して剱沢へ滑り込む。上部はカリカリの縦溝バーン。野営場を過ぎた辺りから雪は緩くなり快適な滑降だが、周辺はガスに覆われ、剱岳の険しい尾根の末端と沢からのデブリしか見ることができない。
【剱沢滑降】
【平蔵谷方面】
別山沢、真砂沢出合を経て二俣へ。二俣付近から部分的に沢が姿を現すようになるが、スノーブリッジで現在通過可能。ここで早々に天幕を張る。
【幕場】
夕方にたった一発だけ雷光と雷鳴。後は早朝にかけて小雨。
4/27
AM5:30、三ノ窓雪渓を登り始める。すぐに北股、池の平方面に入り、小窓雪渓を左に見て池の平へ。付近は一面が白。雪面には我々の黒点しかない。
【池の平】
池の平小屋が少し姿を見せておりその下部にて滑降準備するが、小黒部谷側はガスに包まれているため、ガスが切れるのを待つ。ガスが切れた合間に谷へ。
【小黒部谷源頭滑降】
大窓への谷の出合を過ぎると両岸は黒々とした壁を見せ始めており、小黒部谷はデブリと泥と石の世界となっている。ゴルジュ通過の前で雨も降り始め、怪しい雰囲気に包まれる。行き詰ったら戻ればよいと、ゴルジュに足を進める。時折スキーをはずしてデブリを越えていく。
【小黒部谷】
標高1000m付近から沢が姿を見せるが、通過に困るところはない。黙々と進むと沢が開け、緊張から解き放たれる。折尾谷、西谷との出合地形がすぐ先に見えたが、そこまでもゴルジュで谷の通過は困難と判断。左岸を巻いて尾根を乗越し、折尾谷へ。折尾谷は予想外の強い流れ。ここで藤本さん秘密兵器、わたるくん(渡る君)の出番かと思われたが、運良く目の前に倒木が橋を架けている。これを渡り、更に西谷右岸を巻いて1093mにて天幕を張る。この幕場からは、明日に登る西谷がデブリで沢を埋めているのがよく見える。沢へ水を汲みに戻るついでに少しの滑降を楽しみ、今日も早々に天幕に潜りこむ。
4/28
AM5:30、中谷、西谷二俣へ滑降を開始。雪は緩い。二俣にてシールを貼付け歩き出そうとすると、滑降してきた斜面のすぐ脇で5?程度の雪面が底から剥がれ落ちた。その数秒後、俄かにその周辺の雪面が低い音と共に動き出し、どんどん幅を広げてあっという間に沢床までなだれ込んできた。滑降ラインとはずれていたものの、出発が少し遅れていたらと思うと嫌な気分になる。西谷はデブリが多く、両岸には依然として雪は張り付いている。こんなところは早めに抜けようと稜線へ急ぎ足で登る。
【西谷登り】
稜線へ出てから暫くはシールで登り、どっしりとした毛勝山が見え、斜度が増してきたところでアイゼンに履き替える。アイゼンの効きが良く、登ることに問題はないものの、谷底まで遮るものはなくとても転倒は許されない斜面である。
【毛勝山登り・後立山が見える】
【毛勝山登り・後方は滑降する東谷又】
【毛勝山】
毛勝山の山頂にPM12:30に到着。生憎のガスで展望はないが、ここまでの道を経てこの山頂に立つことは喜びが大きい。ゆっくりできるような環境ではないため、カリカリの斜面を北に向かって300m程高度を下げるとようやくガスから開放される。そして視界が開け、行く先が見えた東又谷へ一気に滑り込む。
【東又谷滑降】
狭い部分の硬い斜面においてはデブリが障害となり、気合を入れての早いターンを繰り返すが、素晴らしい斜面である。谷が開け、日が差し、斜面も雪も緩み始めると、後は楽しいスキー。懸念の三階棚滝も埋まっており、デブリと堰堤で数回板をはずした程度で林道へ。日が傾き始めた頃、誰もいない片貝山荘へ。
4/29
今日は、デブリ等のため車両通行止め中の林道を歩き、タクシーと電車を乗り継いで立山まで。車を回収して帰京。