中央アルプス/宝剣岳極楽尾根

【日時】2012年5月3日〜4日

【メンバー】K,S

天気に翻弄されたGW後半は、日程短縮で行けるルートということで、ロープウェーを利用して中央アルプスへ行ってきました。

宝剣岳の西面にある極楽尾根は、宝剣山荘がベースの場合は、千畳敷の裏側の宝剣沢A沢を下降して取付き、極楽平がベースの場合はF沢を下降して取付く。この時期、極楽平周辺での幕営は出来ないようなので、宝剣山荘をベースとする。

ロープウェーの終了時間は、17時のため、このようなアルパインルートでは時間がかかることも多く、時間制限は大きなプレッシャーだ。そのため、今回は、テントを張ってのベース方式は取らず、初日は宝剣山荘に小屋泊まりして、2日目に一気にルートを抜けてそのまま下山するコースとした。

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初日は、千畳敷から宝剣山荘まで1時間弱の行程なので楽ちんである。雨予報であったが、思いのほか天気も持ち、雨に降られることもなく小屋まで着きました。小屋に着くと、トマの人?と聞かれてびっくりしたが、ロープウェー駅の登山相談所から無線連絡が行ったとのこと。

時間もあり、天気も大丈夫そうなので、宝剣沢A沢を下降して、極楽尾根の取付きの偵察に行く。実は、以前11月に来たことがあり、そのときは雪が少なく、A沢は氷瀑が出ていてアプローチの沢下降に時間がかかりすぎて敗退したことがあるのだ。

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雪も緩んでいてやわらかいので、問題なく下降していく。登山体系の概念図は分かりづらく、B、C沢と、D、E沢はそれぞれ同一の出合いとなっているので注意が必要。事前に参考としてプリントアウトした方のホームページの写真と取付き手前の垂壁を照合して位置を確認。取付のところに赤布を目印として立てて上り返す。

この頃は小雨が降ってきてしまい、すっかり服も濡れてしまいましたが、今回は、小屋のストーブで乾かせるので助かった。

翌日、朝早く出発しようと5時前には準備を整えるが、雨足が強くしばらく待ち、5時20分に雨がほとんど止んだようなので出発。昨日の目印があるので、ガスっていたがアプローチは問題なかった。

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取付きのルンゼは氷が詰まっているので、アイスクライミング混じりで、スクリューで支点をとって氷化した雪を抜けて雪壁へロープを伸ばす。

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更に1ピッチ登って、稜上へ出る。

稜線上は藪がかなり出ていて、ここかな〜?と疑問に思い、反対側の雪面に懸垂してそちらを詰めていく。登っているうちに、そのまま稜線まで出てしまいそうな雰囲気におかしいと思う。どうやらF沢に降りてしまったようだ。

左側の稜線に戻ると、どうやら核心部の三角岩峰の手前に出てしまった。おかげで、小さなピナクル2つをカットしてしまったようだ。もっと手前に戻って登り直すことも出来たが、今更の気もしてきたので、そのまま三角岩峰を登ってしまうことにする。

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三角岩峰は氷の詰まったチムニーを登るのだが、今年は雪が少ないようで、氷が非常に細い。アイススクリューは用意していたのだが、アイゼンは通常の横爪アイゼンで、アックスは短めのピッケルと沢で使っているバイルで引っかかりが悪くて大変だった。やっぱり1本はアイスクライミングで使うようなバイルがあった方が良かった。

細い氷にアックスを決めて10mほど登ると、続いて外傾したスラブとなる。残置ハーケンの支点があるのだが、ホールドが細かくて結構厳しい登り。なかなかシビれるピッチだった。

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三角岩峰上部のピッチを上から見たところ。このピッチは結構時間がかかってしまった。天気は時折、小雨が降ってきて、ビレイしていてとても寒かった。

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その先は、岩場のリッジが続く。そのままロープを3ピッチ出して、岩峰を登ったり、左側の雪面をトラバースして抜ける。

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最後のピッチは、最後の岩場からの下降で3mほど降りるところが少々怖い。サギダルの頭の手前の岩峰は左から巻いて、サギダルの頭へ着く。

極楽平まで登山道を辿り、そこから千畳敷ロープウェー駅へ下降。

短いながらも、三角岩峰でのアイゼン登攀のピッチのグレードが高く、大変でした。北アルプスや八ヶ岳ともちょっと違った雰囲気で楽しいルートでした。

今回、あまりの藪藪となっていてピナクル二つをオミットしてしまったので、きちんと極楽尾根のルートを完登したかと言われると少々疑問が残るが、ロープウェー代と小屋の素泊まり代の料金を掛けて、再チャレンジするかはちょっと悩むなあ。。