槍ヶ岳

【日程】2008年6月10日(火)

【ルート】新穂高温泉〜大喰岳〜槍沢〜槍ヶ岳

【メンバー】矢野

新穂高温泉に到着し、空を見上げれば星の瞬きが美しい。入梅した中でのこの好天に気持は否応無しに高まり、少しの眠りを挟んでAM3:30に出発。闇は早くもやわらかくなり、朝の透明感が漂い始めている。自転車にまたがって林道に入る。ギアの調子が悪くて力むとガツンガツンとチェーンが抜けて空回りするため、ついにこの自転車もオートマになったかとため息。潔くチェーンの抜けない超軽量ギアで回転数を上げて漕ぐこと1時間、白出沢出合に到着。ここで自転車はデポし、雪のかけらもない登山道を黙々と歩く。チビ谷辺りから雪が出始めるが、スキーを使える程の雪は槍平まで行かないと現れない。

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【大喰岳登りから槍ヶ岳】

槍平からシール歩行でせっせと距離と高度を稼いでいくと、途中で槍岳山荘から下りてきたという登山者とすれ違う。昨日夜は雪が降ったとのこと。このお方、とにかく元気で話していて楽しくなる。さて力をもらうと、飛騨乗越経由か大喰岳直登かどちらにするか決めかねていたが、直登決定。日当たりもそこそこあるため間もなく緩むと見たが、意外にも硬い斜面が続き、途中で滑落。200m程度落ちて、振り出しに戻ってしまったかのような情けない気持になる。今一度落ちたところまでシールで登り、斜度の増したところでアイゼン歩行に変える。大喰岳に到着し、槍を横目に南東斜面に滑り込む。

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【大喰岳山頂から槍ヶ岳】

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【大喰岳南東斜面】

この斜面、何もかもちょうど良い。上高地からのルートと合流したところで再びシールを付け、登り返す。この上下には、平日にもかかわらず登山者がちらほらおり、槍ヶ岳の人気の高さを感じる。日は高く、気温がぐんぐん上昇する中槍岳山荘までゆっくり登り、荷物をデポして山頂へ。

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【槍ヶ岳山頂から飛騨沢方面】

狭い穂先からぐるりと見渡せば、それぞれの山がそれぞれの色に染まり、季節の境目にあることを感じさせる。暫くぼんやりとし、槍岳山荘へ下りる。今シーズン最後の滑りのため、一つ一つ何かを確認しながら滑降準備をし、山荘の裏へ回る。山荘裏から飛騨沢へは少しの切れ目を除いてしっかり雪が繋がっている。さぁ行きましょうと足を踏み出せば、やはりもう止まらない。2,3度振り返りつつ、槍平まで一気に滑る。この斜面も何もかもちょうど良い。斜度も、雪質も、雪面も、広さも、全て。

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【飛騨沢】

槍平で大休止し、後は板を担いで登山道を行く。時折、初夏を感じさせる風が吹き抜ける。白出沢から自転車にまたがり、一度も漕ぐことなくノンストップで新穂高温泉まで。スキーと自転車の組み合わせは素晴らしい。

今シーズンも無事で、尚且つ人と天候とルートに恵まれたことを感謝しつつ、スキーを収めた。

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【帰りの登山道から】