【日程】2018年6月17日(日)
【メンバー】L沢のお姉様、SL沢の師匠、弟子(記)
ここは甲斐駒ケ岳へ続く日本三代急登の一つ、黒戸尾根登山口。
土曜日の18時に都内を出発したので時間は早い。シトシト降る雨の中、21時から駐車場に張ったテントの中で宴会が始まった。
なぜか宴は豚肉の塩麹漬けの調理から始まる。
この週末、当初の予定は1泊2日で只見の沢だった。それが悪天候で日帰りになって今に至る。
炒めているのは沢の中で食べる予定でいた夕食。おねだりして持って来てもらったのだ。
出来上がったアツアツの肴を口に運ぶと、もうお酒がとまらない。
今回のメンバーで沢に入るのは久しぶり。約6年前は毎週のように3人で計画を立てていたので、懐かしくあり嬉しくもある。
そんな理由もあって杯が進み、話も盛り上がって気付けば日付が変わっていた。
翌朝。
雨はまだ降り続き、外は一面ガスで覆われている。体調不良に追い打ちをかけるグレーの景色。
底辺まで下がったヤル気が足枷となって動きが鈍る。朝食を食べても体調は回復せず。フラフラしながら準備をして出発した。
まずは約25分、林道を歩く。すると大堰堤がそびえ立つ終点に到着。
ここから沢に入渓する。
すぐに幅広の滝が出てきた。簡単そうな左側を登るが、これが見た目以上に滑るから厄介だ。思うように体が動かないので、神経をすり減らしながら登る。
それ以降、こちらの体調を無視して滝は次々と現れた。泥壁の高巻きでも必要以上に気を使う。
出発して約一時間近く歩いた所で休憩。復活を願って水をがぶ飲みした。
ここでやっと体調が回復。細かいスタンスを拾って軽快に滝を越えると、今度は大きな岩が横たわるCS滝に到着した。
辞めればいいのに。
何を血迷ったのか、元気になったので水流に突っ込んで突破を試みてみる。
1回目、這い上がれずに敗退。
懲りずにザックを下ろしてセカンドトライ。溺れそうになりながら粘るが、結果は撃沈。
自業自得の滝行で、今度は軽度の低体温症になってしまった。人生で初めて経験する凄まじい手足の震え。命の危険を感じたので、白湯を飲んで回復を待つことにする。
数分後。
震えが止まる様子はない。リーダーの提案で、おにぎりを使った雑炊を作って食べる。炭水化物を摂取して、やっと体が温まり、なんとか動けるようになった。
撤退やむなし。引き返して尾根を高巻く。滝を越えるとテン場適地に到着したので、もう一度休むことにする。
じつは先ほどの無謀な挑戦で、重大なヘマをしていた。大切な荷物(お金)が水没したのだ。ずぶ濡れのお財布は目も当てられない。
お札を丁寧に剥がして、ダメ元で天日干しを始めてみる。すると、ベストタイミングで太陽が顔を出してくれた。これはチャンス!リーダーに駄々をこねて、乾燥タイムを作ってもらった。
一時間後。
野口と樋口はまだしっとりしているけど、休みすぎたので再出発。
すぐに大滝が現れたのでこれは右岸から高巻く。これが登れない最後の大滝だった。
アレ沢に入って、順調に尾根に向かう。
リーダーのアドバイス?で入り込んだ支沢に現れたのはボロボロの枯れ滝。落石をバンバン落としながら登りきると、しばらくして尾根に飛び出した。
すぐそこが真っ白な水晶ナギ。景色がいいのでまた一休み。花崗岩のザレ場が広がる奇景が美しい休憩スポットだ。
ここから明瞭な踏み跡を辿ると登山道に合流する。あとは整備された道をひたすら下るだけ。途中のピークで登山道から外れて、車近くに降り立つ尾根を選びながら下山した。
少し遅くなったけど、16時過ぎに車に到着。あとはお風呂に入って夕食を食べて帰るだけなのだが、この山行はなかなか終わらない。
湯船に浸かって汗を流すと、急激にお腹が空いてきた。そこで向かった先は「お食事処 ぼんち」。デカ盛りメニューの有名店だ。
運ばれてくる一品一品が強烈なインパクトで迫ってくる。来たことを後悔しても後の祭り。無心で過酷な戦いに身を投じる。
結果は判定勝ち?胃がはちきれそうになりながら、少々お持ち帰りをして完食とした。
おかしいな。下山後の楽しい食事なのにひどく疲れた。そして、お腹が痛くて動けない。仕方なくパーキングエリアでコーヒーブレイク。再び30分くらい休憩する。
休んでばかりで、いい加減帰れよ!と書きながらツッコミたくなる。だけど、誰も急ごうとしないから気が楽だ。
やっと動き出した車の中。昨晩から続く笑い話は終わらない。約1時間半。ノンストップでしゃべり続け、すっかり暗くなった22時前に都内で解散となった。
日帰りなのに書くことが盛りだくさん。
3人での久しぶりの計画は、話題に困らない大満足の珍道中なのでした。